長田神社。
真庭市北部の蒜山下長田に鎮座。
式内社 長田神社の論社。
境内
国道(382/414重複区間)沿いの注連石
参拝時は濃い霧がかかっていました
鳥居
社頭
神門
手水舎
狛犬
社殿
拝殿
扁額
本殿
境内社等
社殿左手に若宮神社・姫宮神社・真名井神社。
若宮神社
姫宮神社
真名井神社
社殿後方の御崎神社
鳥居脇の地神碑
鳥居手前の御旅所
由緒
創建時期は不詳。
元布施郷一宮、美作国九宮に当たるとされ、中古は牛頭天王とも称したといいます。
延喜式神名帳にみえる「美作国大庭郡 長田神社」および、三代実録 貞観6年(864)8月15日己巳条に「美作国従五位下長田神…授従五位上」とみえる長田神を当社にあてる説があります。
『大日本史』は、真庭市社の長田神社(二宮を構成するうちの一社で、式内論社)はもと布勢郷下長田村にあった(=当地より遷された)としており、当社はその跡地に建立されたとする伝承もあるようです。
※余談ですが三代実録の貞観6年8月15日条は写本によって記述が2種類あり、「美濃国従五位下長田神…(この後に並ぶ神名も若干異なる)」となっている本もあるそうです。どの本がどちらの記述なのかまでは未確認。少なくとも朝日新聞本は「美作国~」表記。詳しくは玄松子の記憶さんにあります。
天文年間(1532~1555)に尼子晴久が社殿を建築寄進。
慶安2年(1649)に美作国主森内記が神鏡一面を奉納。
津山城主松平家、勝山城主三浦家などから祭費の献供がしばしばあったとのこと。
明徳2年(1391)に高さ三尺二寸、径一尺六寸の鐘が奉納されたものの、戦国兵乱の際に陣鐘として持ち去られ、現在は鳥取県倉吉市の長谷寺に所蔵されているそうです…が、とっとり文化財ナビの解説を見ると「明徳4年(1393)に祈願のため奉納寄進したことが記されている」とあり、微妙に年が異なります。
明治期に9社を合祀しています(『平成祭データ』より)。
- 宮の本 飯守神社(大御食津神)
- 宮代 国作神社(大己貴神)
- 花園 八幡神社(仲哀天皇、品陀別命、神功皇后)
- 宮田 宗像神社(田心姫命、湍津姫命、市杵島姫命)
- 野田 八幡神社(品陀別命、武内宿袮、息長帯姫命)
- 道目木 荒魂神社(素盞嗚命、猿田彦命)
- 山根 荒魂神社(事代主命、天照大神、素盞嗚命)
- 原 龗神社(高龗神、闇龗神)
- 西原 愛宕神社(火之迦具土神)
これに加え、岡山県神社庁真庭支部の当社ページにはさらに2社が合祀された記載があります。
- 中島 荒魂神社(素盞鳴命)
- 林 荒魂神社(素盞鳴命)
合祀の時期については、岡山県神社庁の当社ページでは明治12年、上記の真庭支部のページでは明治42年10月21日(なぜか西暦が1908となっている、実際は1909のはず)、平成祭データでは明治42年12月12日。
岡山県神社庁の記載は単なるミスの可能性も高いですが、真庭支部の方は合祀した神社の数・合祀日が異なり、その地域・社名祭神まで明記されています。
いずれが真であるかは不明(ただ、真庭支部のページは下記の郷社列格の西暦表記を1924としていたりするので、日付はミスである可能性も否定できません…)。
大正2年(1913)、神饌幣帛料供進神社に指定。
大正11年(1922)、郷社に列格。
現祭神は事代主命。
『式内社調査報告』は「『美作国神社資料』や『特選神名牒』に事代主神となっている」としていますが『特選神名牒』は祭神欄空欄(『式内社調査報告』の美作国の内容は本当にひどい)。『美作国神社資料』は未確認。どのような経緯で祭神事代主命とされたのかは不明。
『日本歴史地名大系』では「明治維新後、現社名に改めた」とあるので、それまでは祭神牛頭天王だったのでしょうか。
長田神社のお田植祭
蒜山教育事務組合指定 無形民俗文化財
当社には五月五日に行われる「お田植祭」があります。
拝殿で百姓頭、田人、また、牛の角に見たてた菖蒲の葉を額につけ、牛にふんする氏子奉仕者が、祭具の犂、馬鍬、鍬、大足(田下駄)などを使って、苗代から田植えまでの所作を演じ、同時にお産の神事もあり、五穀豊穣と子孫繁栄を祈願する。
創始のころははっきりしないが、祭りに使う農具には安政四歳丁巳(一八五七)の墨書がある。
御朱印
御朱印の有無は不明。
アクセス
米子自動車道湯原ICを降りて国道313号を北へ、あるいは蒜山ICを降りて国道482号を東へ。
蒜山ICからの方が多少近いです。
国道313と482の重複区間の北の方(位置)、道路東側に注連柱が立っていますのでそちらへ。
直進していくと鳥居があり、その先に境内。
境内右手にスペースがありますが、神社の駐車場なのか付近の民家の敷地なのか不明。
神社概要
社名 | 長田神社(ながたじんじゃ) |
---|---|
通称 | 天王さん |
旧称 | 牛頭天王 |
住所 | 岡山県真庭市蒜山下長田1097 |
祭神 | 事代主命 |
配祀 | 天照大神 素盞嗚命 迩迩芸命 大穴牟遅命 |
合祀 | 大御食津神 大己貴神 仲哀天皇 品陀別命 神功皇后 田心姫命 湍津姫命 市杵島姫命 品陀別命 武内宿禰 息長帯姫命 素盞嗚命 猿田彦命 事代主命 天照大神 素盞嗚命 高龗神 闇龗神 火之迦具土神 |
社格等 | 式内社 美作国大庭郡 長田神社 日本三代実録 貞観六年八月十五日己巳 長田神 従五位上 美作国九宮 旧郷社 |
札所等 | – |
御朱印 | 不明 |
御朱印帳 | – |
駐車場 | なし(境内右手のスペースがそうかも?) |
公式Webサイト | – |
備考 | – |
参考文献
- 「長田神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
- 「長田神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 岡山県神社庁編『岡山県神社誌』岡山県神社庁, 1981
- 式内社研究会編『式内社調査報告 第二十二巻 山陽道』皇學館大学出版部, 1980