大山神社（井原市芳井町天神山）

大山神社。

井原市芳井町天神山に鎮座。

摂社の足次神社は式内社　足次山神社の論社。

境内

山道にある石祠

地神碑

鳥居

手水鉢

社殿

拝殿

拝殿内の祠

本殿

摂社・足次神社

当社の摂社である足次神社は延喜式神名帳にみえる「備中国後月郡　足次山神社」の論社とされています。

この足次神社は、もとは天神山の「一ツ山」の山頂、「アサ宮」と呼ばれる所にあったと伝わります。

その後現在地へ遷されたとされますが、倉掛の足次山神社に「天神山ヤシロ谷に鎮座していた足次の神を応永年間に合祀した」という伝えがあります。『式内社調査報告』『日本歴史地名大系』はヤシロ谷とアサ宮、現社地の関係は明らかでないとします。

また、長和年間（1012～1017）に芳井町相字大社から天神山天屋に足次山神社が遷されたという伝えもあって、遷座の実態はよくわかりません。

…ということなのですが、この足次神社の場所に関する情報がなく参拝時は発見できませんでした。

この度あらためて調べてみたところ、鎮座地が判明しました。

大山神社の鳥居の少し手前で、左手に入ってすぐのところにあるようです（おおよその位置）。

ヤマレコの山行記録から判明したので、リンク貼っておきます。他にも記録を上げている方がいました。こういった場所のよくわからない山中の神社は、神社系サイトよりもヤマレコやYAMAPに有用な記録があることが多いです。

場所がわかったからには早く行きたい…

足次神社の祭神は不明ですが、天須葉神、宇賀之御魂命の二柱とする説が『井原史料』にあるようです。

少し長いですが『式内社調査報告』がそれについて述べている部分を引用。

式内社調査報告

『後月郡誌』所収の『足次大明神縁起』には、「備中国後月郡足次郷井原村内倉垣里に鎮座祭る所の神二柱（神体尊号は口伝あり）」とあり、これについて『井原史料第一集』は、応永年間に足次山神社（「天神山村ヤシロ谷」に鎮座していた「足次ノ神」を合祭したといふ伝承のあることから、「芳井町天神山に大山祇神社あり、その摂社に足次山神社として天須葉神（アスハのカミ）、宇賀之御魂命の二柱を記す。口伝ありといふのはこの古伝をいふのであらう」と述べているが、どうであろうか。

赤字部分の括弧が閉じ忘れられており区切りがはっきりしないのですが…時系列としては、以下のようになるのでしょうか。

1. 応永以前からの口伝として、天神山大山祇神社（＝大山神社）の摂社足次山神社に天須葉神、宇賀之御魂命が祀られていた
2. 応永年間に「天神山村ヤシロ谷」に鎮座していた「足次ノ神」（＝上記の摂社足次山神社）を倉垣の神社に合祀した

ただそうすると、倉垣の神社に合祀されたにも関わらず現在も天神山に摂社足次山神社が存在しているのは矛盾します。合祀後再び祀り直したとか、実は合祀でなく分祀だったとか、そもそも「天神山村ヤシロ谷」の「足次ノ神」と摂社足次山神社は別だとか、いくらでも理由は考えられますが。

『式内社調査報告』は事前に「天神山村ヤシロ谷」と「一ツ宮のアサ宮」と天神山字野地（＝摂社足次神社の鎮座地字名らしい）の関係は明らかでない、と述べておきながら上記の引用をして「どうであらうか」などと言っているのは嫌味ったらしいというか、ミスリードを誘っているようにすら思えます。

他に祭神を挙げている資料が見当たらないので、天須葉神、宇賀之御魂命の二柱と考える他はないのですが…

由緒

大山神社の創建は寛文5年（1665）。

それ以外の由緒は不詳。

明治4年村社列格。

御朱印

御朱印の有無は不明。

アクセス

井原市中心部から国道313号を北上し、芳井支所前交差点（位置）で左折。

450m先（位置）、「←天神山」の標識があるので左手に。その先、体育館前を過ぎた辺り（位置）で右手に。

しばらく道なりに進んで山を上り、天神山池横の分岐（位置）を右へ。

その先の分岐（位置）を左手に入り1kmちょっと行くと空き地があります。そこに駐車可能。

空き地脇から上っていくと程なく神社。

駐車可能な空き地

神社概要

参考文献

• 「足次山神社」, 『日本歴史地名大系』（データベース「JapanKnowledge」）
• 「大山神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ（CD-ROM）』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
• 井原市史編纂委員会編『井原市史　1』井原市, 2005
• 井原市史編纂委員会編『井原市芳井町史　通史編』井原市, 2008
• 岡山県神社庁編『岡山県神社誌』岡山県神社庁, 1981
• 式内社研究会編『式内社調査報告　第二十二巻　山陽道』皇學館大学出版部, 1980