山口神社(和歌山市谷)

山口神社。

和歌山市谷に鎮座。

式内社 伊久比売神社の論社。

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境内

一の鳥居

 

社号標

 

狛犬

 

二の鳥居

 

社号標

 

狛犬

 

庁議殿

 

参道

 

手水舎

社殿

瑞垣内に日吉神社(左)、春日神社(右)の2社が並んでいます。日吉神社の方が本社です。

主たる日吉神社=山口神社なのか、あるいは春日神社(と他の境内社)とを総称して山口神社というのかは不明。

 

日吉神社鳥居

 

日吉神社社殿

 

春日神社鳥居

 

春日神社社殿

 

並立する2社

境内社等

布魂神社

山口神社の元宮ともいわれる境内社。

 

八幡神社

 

八幡神社横の祠

塞神社、牛神社、荒神社の合祀社。

 

左から外宮豊受大神、内宮天照皇大神、八大龍王大神

由緒

山口神社由緒書

祭神

主祭神

日吉神社 伊久津比賣命 大己貴命 弥照大神

春日神社 天兒屋根命 武甕槌命

布魂神社 布部之魂 布都之魂

八幡神社 譽田別大神

祭日 例大祭 十月十七日

 

由緒

古くは、日吉山王・春日神社といわれたが、明治四十二年中山王子社、山口王子社、白鳥明神など山口村各地の神社を合祀したのを機に、山口神社と改称した。

創建は、詳らかではないが、平安初期、延暦二十三年(八〇四)第五十代桓武天皇が、紀州玉津嶋に行幸されるに先立ち、征夷大将軍坂上田村麻呂を、摂津・和泉・紀伊の三国に遣わし、所々に行宮を造らせて、準備させ、そのとき建てられたという伝承がある。また、田村麻呂の墓といわれる将軍塚や、田村麻呂の五世坂上五郎の居城跡といわれているところもすぐ近くにあり、長く坂上一族が、当神社の祭礼の中心であったようである。また、田村麻呂がやって来た時、その送迎に当たった者が十番頭人として、神社の祭礼に重要な地位を占めて、代々引き継がれ、江戸時代まで、続いたという。

第五十一代平城天皇(八〇六~八〇九)が熊野行幸の時、勅使を立てて、神殿を拡大したとの伝承もある。

また、『紀伊続風土記』によると、「延喜式神名帳(延長五年九二七)式内社・名草郡に伊久比賣神社あり、又、本國神名帳従四位上伊久津比賣神あり」とし、「この伊久津比賣」は当神社の伊久津比賣命ではなかろうかと、記している。

平安時代後期から鎌倉時代にかけて、上皇や女院の熊野参詣が盛んとなり、また、熊野古道の街道沿いに、いわゆる九十九王子社が各地に建てられた。当神社は、王子社ではないが、上皇や、女院もしばしば立ち寄ったと伝えられている。

万葉歌人の一人、小野小町の墓所といわれる小町堂の石碑が近くにある。

豊臣秀吉が、天正十三年(一五八五)紀州攻めを行った時、根来寺などとともに、当神社も、兵火に遭い神殿はもとより、宝物・古文書や古い記録のほとんど全てを焼失した。その後慶長四年(一五九九)紀州国主となった、羽柴秀長(秀吉の異父弟)によって再興された。

更に、この地は、和歌山城の艮(鬼門)にあたるとして、紀州の大名となった浅野氏や徳川氏の援助を受け、江戸時代には、近辺にない立派な神殿が再建された。

昔は、祭礼には、神輿や騎馬渡も盛大に行われたと伝えられるが、いつの頃からか廃絶され現在に至っている。

 

山口神社 御祭神と合祀神社

1.現在の山口神社の祭神…①②③④⑤の順でお参りください。

①日吉神社(社殿内左側)…鳥居…慶安元(1648)年

左殿(向かって右側)

伊久津比賣命(イクツヒメノミコト)

この神さまは、古くから山口神社の主祭神と伝えられている。

 

中央殿

山王七権現

大己貴命(オオナムチノミコト)又の御名は、大国主命の別名で、『財福の神』『病気を治す神』『国造り家造りの神』『受験や競争に勝つ神』さまとして、信仰を集めています。山王七権現の中心。

国常立命(クニノトコタチノミコト)

国狭槌命(クニノサツチノミコト)

惶根命(カシコネノミコト)

この三神は造化神で、肉体を具えず無形の神々といわれ、永遠に天地を主宰する神さまである。

伊弉冊命(イザナミノミコト)

正哉吾勝勝速日天忍穂耳命(マサカツアカツカチハヤビアメノオシホミミノミコト)

天津彦彦火瓊々杵命(アマツヒコヒコホノニニギノミコト)

この三神は祖先神で、国土産出の神で、また国堅(くにかため)の神さまである。

 

右殿(向かって左側)

弥照命(イヤテリノミコト)

この神は、桓武(かんむ)天皇(737~806)の御霊(みたま)を祀っている。

 

旧山口村各大字にあって合祀された神社

愛宕神社 藤田字硲に鎮座 蔵王神社 山口西字田垣内に鎮座

白山神社 上黒谷字堂垣内に鎮座 戎子神社 里字町に鎮座

平神社 平岡字山畑に鎮座 土屋神社 中筋日延字土屋に鎮座

日延神社 中筋日延字蔵王に鎮座 白鳥神社 湯屋谷字山の下に鎮座

王子神社(山口王子) 湯屋谷字山の下に鎮座

春日神社 滝畑字垣内に鎮座 王子神社(中山王子)滝畑字王子原に鎮座

八王子神社 北別所字滝の口に鎮座 八王子神社 落合字村の内に鎮座

 

山口神社 御祭神と合祀神社2

②春日神社(社殿内右側)…鳥居…宝永四(1707)年

天兒屋根命(アメノコヤネノミコト)

ほか三神を祀る。これらの神は、天孫降臨のときに皇孫に随従した神、藤原氏の祖先神である。

経津主命(フツヌシノミコト)=斎主命(イワイヌシノミコト)

武甕槌命(タケミカツチノミコト)

この二神は、荒神・悪神・邪神を平定した神、国土平定の神、軍神・武神で、武運長久・異国征服・外難防御の神さまである。

比賣命(ヒメノミコト)=姫大神(ヒメオオカミ)

 

旧山口村各大字にあって合祀された神社

蔵王神社 藤田字流に鎮座 辦天神社 山口西字田垣内に鎮座

金刀比羅神社 山口西字田垣内に鎮座 里神社 上黒谷字堂の東に鎮座

蔵王神社 上黒谷字北垣内に鎮座 八坂神社 上黒谷字谷田に鎮座

辦天神社 上黒谷字堂の西に鎮座 塞神社 上黒谷字垣内に鎮座

山王神社 平神社境内に鎮座 勝手神社 平神社境内に鎮座

塞神社 平岡字戈の神に鎮座 蛭子神社 平岡字戈の神に鎮座

市杵島神社 平岡字虎淵に鎮座 王子神社 土屋神社に鎮座

金刀比羅神社 中筋日延字藪裏に鎮座

子守・勝手・伊太祁曽神社 日延神社境内に鎮座

秋葉祇園神社 湯屋谷字山の下に鎮座 八王子・産・里神社 春日神社境内に鎮座

稲荷・里・森神社 滝畑字戈の神に鎮座 稲荷神社 滝畑字鎌谷に鎮座

地主神社 滝畑字垣内に鎮座 八王子・妙見神社 滝畑字内野原に鎮座

八幡・熊野・御嶽・住吉神社 八王子神社境内に鎮座

 

③布魂神社(西側)

山口神社の元宮ともいわれています。

「布部之魂」とすれば祭神は定かでないが、機織りの神かと思われる。

「布都之魂」とすれば、奈良県の石上神社に祀る刀剣の神として有名である。

 

④八幡神社(東側)

ご祭神は、譽田別命(ホムタワケノミコト)=応神天皇(201~310)の御霊(みたま)であり、『八幡さま』と通称されています。

神功皇后(170~269)は伽耶・任那政府の依頼により句耶(新羅)へ御遠征(200)の時、胎内に子を宿したまま全軍の指揮・采配をおこなったと言われています。その後、応神天皇を産みました。『安産の神さま』『子授けの神さま』『知恵の神さま』として、また、古来は『文武の神さま』と称えられ崇敬されていました。

 

⑤祠(八幡神社の東の石の祠)

塞神社 谷字馬場に鎮座 牛神社 谷字東日吉に鎮座 荒神社 谷字西日吉に鎮座

創建時期は不詳。

伝承によれば、延暦23年(804)に桓武天皇が紀州玉津嶋に行幸されるに先立ち、征夷大将軍坂上田村麻呂を摂津・和泉・紀伊の三国に遣わし、所々に行宮を造らせて準備させた時に創建されたとも。

付近には田村麻呂の墓という将軍塚や、田村麻呂の五世坂上五郎の居城跡とされる場所もあるそうで(いずれも未確認)、坂上一族が祭礼に関わっていたと見られています。

また田村麻呂の送迎にあたった者が十番頭人として神社の祭礼に重要な地位を占め、江戸時代まで続いたとされます。

平城天皇の熊野行幸の際に勅使を立て神殿を拡大したとも。

 

延喜式神名帳にみえる「紀伊国名草郡 伊久比賣神社」および、紀伊国神名帳にみえる「従四位上伊久比賣神」を当社に比定する説があります(『紀伊国続風土記』)。

 

天正13年(1585)の秀吉紀州攻めの際、兵火に遭い、神殿・宝物・古記録など殆どを焼失。

その後、紀州国主となった羽柴秀長により再興。

和歌山城の艮(鬼門)にあたる場所のため、浅野氏や徳川氏からの崇敬もあったようです。

 

明治42年に九十九王子の山口王子、中山王子とされる2社の王子神社を含む山口村各地の神社を合祀し、山口神社と改称(それ以前は日吉春日神社と称していた)。

御朱印

御朱印はあります。

宮司さんは非常駐ですので、要連絡。

アクセス

県道7号を和歌山市から岩出市の方へ向かいます。

谷交差点(位置)まで着いたら、50mほど西に北へと入っていく田んぼの中の細い道(位置)があるのでそちらへ。

すぐに鳥居があるので、鳥居右手からさらに奥へ向かいます。

駐車場はありません。

神社概要

社名山口神社(やまぐちじんじゃ)
通称
旧称日吉春日神社
住所和歌山県和歌山市谷377
祭神伊久津比売命
配祀

国常立命

国狭槌命

惶根命

大己貴命

伊弉册命

正哉吾勝勝速日天忍穂耳命

天津彦彦火瓊々杵命

弥照命

社格等

式内社 紀伊国名草郡 伊久比賣神社

旧村社(?)

札所等
御朱印あり
御朱印帳
駐車場なし
公式Webサイト
備考

参考文献

  • 「山口神社」「伊久比売神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
  • 「山口神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995