竈山神社。
和歌山市和田、和歌山電鐵竈山駅の南南東700m程の場所に鎮座。
式内社 竈山神社に比定される神社で、社地北側には神武天皇の長兄・彦五瀬命の陵墓に治定されている竈山墓があります。
戦前は官幣大社、現在は神社本庁の別表神社。
境内
社頭
社号標
鳥居
狛犬
参道
手水舎
神門
裏参道
柱は注連柱なのか、鳥居の跡なのか…
社殿
拝殿
左側の木の後ろが幣殿、中央奥の屋根が少し見えるのが本殿(と思われる)
『式内社調査報告』によると、かつては幣殿の位置に割拝殿があり、直に本殿を拝むことができたそうです(「かつて」がいつ頃までかは不明。少なくとも同書発行の昭和62年以前)。
境内社等
境内社(合祀社と掲示あり)
結社(左)、子安社(右)
この他、社殿左手玉垣の外に青葉神社があります。参拝時は気付かず…
蔵?
竈山墓
裏参道を出て少し北に行くと竈山墓(彦五瀬命御陵)があります
通常、石橋を渡った先に鎖が掛かっているのですが、この日は樹木の剪定作業?が行われており外されていました(とは言えその先に入ってはいませんが…)。
御陵
竈山墓は紀伊では唯一、延喜式に見える陵墓なのですが、いつの頃からか所在不明となっていました。
現在の御陵は明治9年に治定、同14年に修営されたもの。古代の陵墓が真にこちらなのかは不明。
ここは古くより竈山と呼ばれている、彦五瀬命の御墓です。
命は初代の天皇となられた神武天皇の兄君です。九州の日向国を出立し、大和平定の途中、傷を負われて雄水門で亡くなられ、この地に鎮められました。
神武天皇が即位された皇紀元年より二年ほど前のことです。日本の国造りに尊い御命を捧げられ、建国の礎となられた彦五瀬命は国の民の鏡として讃えられ、国家安泰の神様として竈山神社に祀られています。
地元の人はもとより、全国から多くの人々が、神社やこの御陵にお参りになります。
皆が此処を大切に思い、世の発展と子孫の繁栄を永久に御加護いただくことをお祈りして、平和な社会を築きましょう。
由緒
祭神である彦五瀬命は神武天皇の長兄。
神武天皇と共に東征しますが、孔舎衙坂で長髄彦の軍と戦った際、流れ矢に当たり負傷。
その後雄水門で崩御、竈山に葬られたとされます。当地の伝承では竈山の南西にある吉原まで来て亡くなったとも。
当地はその遺跡だとされますが、当社の創建時期については不詳。
延喜式神名帳には「紀伊国名草郡 竈山神社」、また延喜式諸陵式に「竈山墓 彦五瀬命在紀伊国名草郡兆域東西一町南北二町守戸三烟」と見えます。
かつては現在地よりやや東南のところにあったともいわれ、社地東西一町半余、南北二町、神田八町八段を有したとされます。
しかし天正13年(1585)、秀吉の紀州攻めの兵火に罹り社殿・旧記・宝物を焼失、社領も没収。
その後慶長5年(1600)に浅野幸長が小祠を再建、寛文9年(1669)には徳川頼宣が社殿再建。
ただし以降も寺社奉行支配下となり、氏子も社領もなく社運は衰微しました。
寛政6年(1794)、本居宣長が当社に参詣し「をたけびの かみよのみこゑ おもほへて あらしはげしき かまやまのまつ」と詠んでいます。
明治6年に村社に列格。同18年には官幣中社、大正4年には官幣大社に昇格。
村社から官幣大社に昇格したのは当社が唯一の例。明治9年の竈山墓の治定が影響したと思われます。
現在の規模になったのは、昭和13年頃に国費及び崇敬者の献資により社殿造営・境内拡張を行ってからのこと。
御朱印
御朱印はあります。
社務所で拝受可。
静火神社の御朱印も当社でいただけます。
アクセス
電車+徒歩なら、竈山駅を降り、南へ。
和田川を渡ると大鳥居があります(位置)。そこからさらに500mほど行くと右手前に竈山墓。その少し南に神社の裏参道入口があります。
車なら、和歌山城のあたりから国道42号を南下し、秋葉山の北あたりの水軒口交差点(位置)で東に折れます。3kmちょっと先の十字路(位置)で右折(100m程手前の青看横に「竈山神社→250m」の案内あり)。突き当りを西に曲がると、すぐ右手に駐車場入口(入口位置、奥に鳥居が見える)。
あるいは阪和自動車道の和歌山ICを和歌山市街方面に降り、花山西交差点(位置)から片側2車線の道を南下し、3.5kmほど先(位置)で右折。500mほどで駐車場入口。
もしくは和歌山南スマートICを降り、和歌山港方面(右手)に2kmちょっと行ったところの十字路(位置)で左折。突き当りを西に曲がると、すぐ右手に駐車場入口。
神社概要
社名 | 竈山神社(かまやまじんじゃ) |
---|---|
通称 | – |
旧称 | – |
住所 | 和歌山県和歌山市和田438 |
祭神 | 彦五瀬命 |
社格等 | 式内社 紀伊国名草郡 竈山神社 旧官幣大社 別表神社 |
札所等 | 西国三社参り 神仏霊場巡拝の道 第8番 |
御朱印 | あり |
御朱印帳 | – |
駐車場 | あり |
公式Webサイト | – |
備考 | 境内北に竈山墓(彦五瀬命御陵)あり |
参考文献
- 「竈山神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
- 「竈山神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 式内社研究会編『式内社調査報告 第二十三巻 南海道』皇學館大学出版部, 1987
- 谷川健一編『日本の神々 神社と聖地 第六巻 伊勢・志摩・伊賀・紀伊』白水社, 1986