篠座神社。
大野市篠座に鎮座。
式内社 篠座神社に比定される神社。
境内
一の鳥居
社号標
手水舎
二の鳥居
2018年2月、雪の重みで損壊してしまったらしく、現存せず。
扁額
狛犬
社殿
拝殿
扁額
かなり風化した狛犬
本殿
境内社等
磐座神社
本殿北側、天女ヶ池の島に磐座神社が鎮座します。
本殿右手に赤鳥居
天女ヶ池
御霊泉
磐座神社
内部の本殿
扁額
網で見えづらいですが「磐㘴神社」とあります
狐か狼か…
倉稲魂命を祭神と記した棟札があるそうなので、狐でしょうか。片割れしかいません。
池の畔に大きな岩がありますが、案内などはなく、磐座神社との関係は不詳
赤鳥居に向かって石段を降りると、右に広がるのが天女ヶ池。その一隅に湧く御霊水は、眼病に霊験があり年中県内外より多くの参拝者が訪れる。
島の中の磐㘴神社の御祭神は市杵島比売命。水の神、芸能、財宝の神とたたえられ、芸能、商業にたずさわる人人の崇敬は高い。天降る天女の神は、後に弁天さまに見たてられている。
平安時代に、牛ヶ原の弁天さまも、この社に合祀。爾来、旱ばつの年には必ず、当社まで舞楽を奏し、行列して雨乞い(踊り)が続いたと云われる。
―御霊水は、清潔に御活用いただきますよう―
十月十日は、全国唯一の「眼の祈願祭」の日
福井県認定 認定日 平成18年1月31日
泰澄大師が、白山登拝の折にお立ち寄りになられた際、「我は、大己貴命である。この地は林泉の勝地であるから、常に心を楽しませて降臨する」とのお告げを受け、篠座神社が創建されたと伝えられます。
また、この霊泉は、眼病に苦しむも者を救うために大己貴命が、そのご仁慈より湧出させたといわれ、「癒しの御神水」と広く親しまれています。
○絵師・菱川師福による御神影
若きころ不治の眼病に苦しんでいた師福は必死に篠座の大神に祈りを捧げ、奇跡的に開眼全治しました。
これは大神のご神徳のおかげと悟り、以後月次祭の日には必ずお礼参りをかかさなかったといいます。
若生子神社
鳥居と扁額
狛犬
社殿
昭和四十年九月十四日の集中豪雨は真名川流域をひとなめにして、西谷村をはじめ上下両若生子部落の家屋、田畑に甚大なる被害を与え、復興への見込みは絶望的であった。
しかしながら、時あたかも昭和四十一年七月、建設省では防災ダムの建設計画が持ちあがり、結局、村民はこぞって国の施策に協力すべく、各々新天地を求めて移住。よって昭和四十四年九月、当神域に社殿を新しく造営して、両氏神社を遷座合祀する。
例祭 八月十八日
秋生神社
社殿
西谷村笹生川上流に集落を構えていた上・下秋生が昭和二十七年福井県真名川総合開発事業による笹生川ダム建設のため四百余年の歴史をもつ父祖伝来の郷土をあとに移住した。
因って、昭和三十一年四月二十七日白山神社(上秋生)と八幡神社(下秋生)を仮殿に移し、当社をここに移築し秋生神社と改称して、同年十月十二日に御迁座合祀した。
爾来例祭には秋生出身者のふれあいの場として賑やかに営まれている。
当社も移築後四十年が経過し老朽化も進んだため、正面の改修工事と併せて基礎補修工事を施工平成八年四月十四日竣工した。ここに移築四十周年にあたり記念碑を建立する
大野招魂社
社殿
祭神 大野藩士十一柱
明治元年、戊辰の役(箱館戦争)の戦没者十一柱を合祀。明治四年明治天皇、北陸御巡幸の際には特に祭祀料を賜る。
明治三十四年六月、官祭招魂社。
同三十九年、菊花御紋章の許可あり。
例祭 四月二十一日
温見白山神社
社殿
ここは由緒札が建っていませんでしたが、若生子神社や秋生神社と同様に温見という集落から遷されてきた神社のようです。
その他
御神木の切り株が納められた小屋
御神木
下の説明文、残念ながらこのサイズだとよく読めないのですが、危ないのでやむなく伐採したということらしいです。
神馬堂
豊明殿
参集殿でしょうか?授与所も兼ねています。
吉田拙蔵記念之碑
大野丸船長
安政二年(一八五五)の冬??の大野藩?藩有志の建策を採用して蝦夷?カラフト?探検を計画。同五年六月蝦夷地開拓と??のため建造した大野丸の船長。
前年七月拙蔵は幕府が開いた海軍所?(築地)に入り帆前測量を学ぶ(四十二歳)。大野丸はその冬に敦賀湾で物資や商品を仕込み明くる安政六年の春三月いよいよ箱館に向けて出航。開拓地総督。
内山隆佐(四十七歳)をはじめ乗組員らを乗せて同月二十九日に上陸した。もっぱら諸物産の輸送にあたり藩の殖産興業の一翼を担うが、五年後の元治元年(一八六四)八月下航中、根室沖で座礁、沈没する。(乗組員は無事だった)。
葉っぱで隠れて一部読めず。
由緒
篠座神社
創建は社伝によれば養老元年(717)。
養老元年3月、泰澄大師が麻生津から白山登拝を思い立ち大野に到着したとき、南の方の林、清水湧き流れ出る所(篠座)に十日ばかり過ごした。白山登拝後、同年9月に篠座に戻った際、虚空より「我は大己貴命なり。かかる林泉の勝地であるから常に心を楽しませて降遊する」とのお告げがあったため、大師は祠を営み、影降の尊容を刻んで安置した、とされます。
延喜式神名帳にみえる「越前国大野郡 篠座神社」に比定されています。
元亀年間(1570~73)、朝倉氏の兵火に罹り焼亡。
元和年間(1615~24)に金森氏により再建(金森長近による再建とする資料もありますが、この時期既に長近は死去しています。金森氏自体当地から移されています)。
『福井県大野郡誌』は、再建を寛永元年(1624)、松平直政によるものだとします。
明治5年郷社列格、同8年県社に昇格。
西に聳える飯降山(日本昔ばなしの怖い話で有名)は、当社の神体山ともいわれているようです。
主祭神は大己貴命。
樺神社(合祀社)
創建時期は不詳。
往古より篠座神社の傍に鎮座し「長堂」と呼ばれていた、と伝わります。
延喜式神名帳にみえる「越前国大野郡 椛神社」の論社。
篠座神社同様、元亀年間兵火に罹り、元和年間再建。
正徳2年(1712)、大野町加藤九左衛門が堂社建立。
明治22年、篠座神社境内社の少彦名神社相殿となり、同25年篠座神社に合祀。
祭神は木花咲夜姫命。
磐座神社(境内社)
延喜式神名帳にみえる「越前国大野郡 磐座神社」の論社。
創建時期は不詳。
境内由緒書には「平安時代に牛ヶ原の弁天さまを合祀」とあるので、それ以前からあったと取れますが、棟札には元禄2年(1689)、「籬邊の清池」に島を築き弁天の尊形を祀り勧請したと記されているようです。
『神社明細帳』の篠座神社項では、境内社磐座神社の祭神は稲田姫命とされています。
また同書、大野郡大野春日町字西土居12番地鎮座の村社磐座神社項には、祭神市杵嶋姫命、文政年度(1818~29)本願寺清水町に宮澤由左エ門勧請、明治9年村社列格、同41年篠座神社に合祀、とあります(どこから勧請されたのかは不明)。
『福井県神社誌』には「磐座神社は、昭和22年に旧に復し、昭和63年に本殿・拝殿等を改築した」とあります。
上記からわかるように、磐座神社は元から(あるいは元禄から)境内社として存在した社と、文政期に大野春日町字西土居(本願寺清水町)に勧請され、明治に篠座神社に合祀された社の2社があったようです。
式内論社とされているのは、おそらく元から境内にあった社の方だと思われます。
『越前国名蹟考』に「宗像社 御手洗の中に弁財天社有。是を磐座神社なりとも云」「磐座神社在篠座邑。篠座神社在同所。祭神並未詳。越前神社考」とあるため。
棟札や『越前国名蹟考』に弁天・弁財天とあるのに『神社明細帳』において稲田姫命が祭神とされた理由は不明。
現祭神は境内由緒書を見る限り市杵島比売命だと思われますが、稲田姫命も合祀されているのでしょうか。
また『福井県神社誌』の「昭和22年に旧に復し」がどちらの磐座神社を指すのか不詳。
境内社の方が本社に合祀されたという記述は資料に見当たりません。
推測ですが、合祀された大野春日町字西土居の村社磐座神社が旧に復したという意味ではないかと思います。
当社北東約500mに本願清水イトヨの里という施設があり、それに隣接して磐座神社が鎮座しています。
字西土居の地名が既になく、断定はできませんが、併記されている本願寺清水町が本願清水周辺であれば、この磐座神社は旧地に再興された村社磐座神社ではないか、と。
なおこの他に、大野市本戸に鎮座していた磐座神社も当社に合祀されています。
本戸は現在の笹生川ダム近くにあった集落で、ダム建設に伴い住民が移住し廃村。
磐座神社は篠座神社に合祀されたとのこと(下記サイトの記述による)。
御朱印
御朱印はあります。
授与所で拝受可。
アクセス
国道158号の篠座交差点(位置、越前大野駅の南1.5kmくらい)を北に入り250m程行くと一の鳥居があります。
鳥居の向かいに看板が建っており、その奥のスペースが駐車場だと思われますが確証はなし
参道のすぐ北を並走する道を社殿の方へ入っていくと、手水舎向かい辺りにも駐車場があります。こっちの方が確実。
神社概要
社名 | 篠座神社(しのくらじんじゃ) |
---|---|
通称 | – |
旧称 | 篠座大明神社 篠座明神 |
住所 | 福井県大野市篠座42-5 |
祭神 | 大己貴命 |
合祀 | 誉田別命 豊受姫命 少彦名命 木花咲夜姫命 市杵嶋姫命 |
社格等 | 式内社 越前国大野郡 篠座神社 式内社 越前国大野郡 椛神社(合祀の樺神社) 旧県社 |
札所等 | – |
御朱印 | あり |
御朱印帳 | – |
駐車場 | あり |
公式Webサイト | https://www.shinokura.net/ |
備考 | – |
参考文献
- 「篠座神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
- 「篠座神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 式内社研究会編『式内社調査報告 第十五巻 北陸道1』皇學館大学出版部, 1986
- 福井県神社庁編『御大典記念福井県神社誌』福井県神社庁, 1994
- 明治神社誌料編纂所編『府県郷社明治神社誌料 中巻』明治神社誌料編纂所, 1912(国会図書館デジタルコレクション 687-688コマ)