野神社。
大麻比古神社の末社で、大鳥居脇にある天神社の境内に鎮座。
式内社 鹿江比賣神社の論社。
境内
大麻比古神社の大鳥居と社号標の間にひっそりと入口
天神社社殿
社日塔
天神社境内全景
中央付近に見えるのが野神社。
野神社
天神社境内にある、こちらの石祠が野神社
由緒
創建時期、由緒不詳。
『阿波國式社略考』で当社を延喜式神名帳にみえる「阿波国板野郡 鹿江比賣神社」として挙げています。
そうすると日本三代実録 元慶7年(883)9月5日戊辰条に「授阿波国従五位下鹿紅比咩神従五位上」とみえる鹿紅比咩神の論社ともなるでしょうか。
『阿波国式社略考』によれば、元は一町(約109m)余り南にあり、寛政8年(1796)8月の洪水で流され現在地に遷ったとのこと。
祭神は鹿江比売神。
『阿波国式社略考』はこの神を草祖草野姫神(鹿屋野比売神)を指すとします。
しかし安房の下立松原神社に伝わる『安房国忌部家系』において、「天日鷲命―大麻比古命(又名津咋見命)―千鹿江比売命」の系譜が見られます。『日本歴史地名大系』は野神社の祭神を千鹿江比売命としており、『日本の神々』もそのようにとれる記述をしています。
また『特選神名牒』には「今按阿波国式社略考に祭神草野姫神と云るは鹿江と音近きによりての付会なれば信がたし(中略)大麻社行在所の東平林中にあり旧地は一町余りの南なりしに寛政の頃洪水にて今の地に迁されしなりと云ものは彼の草野姫神の所在をさすなるへし」。『阿波国式社略考』がいう鹿江比売神社=当社は草野姫神のことであって式内の鹿江比売神ではないということでしょうか。
『神名帳考証』は香用比売命とします。
御朱印
御朱印の有無は不明。
大麻比古神社で確認するのがよいと思います。
アクセス
大麻比古神社までのアクセスは該当記事をご参照ください。
当社は大麻比古神社の大鳥居のすぐ脇、大麻比古神社末社の天神社境内にあります。
神社概要
社名 | 野神社(のじんじゃ) | |
---|---|---|
通称 | 鹿江比売神社(?) | |
旧称 | – | |
住所 | 徳島県鳴門市大麻町板東塚鼻(大麻比古神社末社 天神社境内) | |
祭神 | 鹿江比売神 | 現祭神 |
草祖草野姫神(鹿屋野比売神) | 『阿波国式社略考』 | |
香用比売命 | 『神名帳考証』 | |
千鹿江比売命 | 『日本歴史地名大系』 『日本の神々』 | |
社格等 | 式内社 阿波国板野郡 鹿江比賣神社 日本三代実録 元慶七年九月五日戊辰 鹿紅比咩神 従五位上 大麻比古神社 末社 | |
札所等 | – | |
御朱印 | 不明 | |
御朱印帳 | – | |
駐車場 | あり(大麻比古神社駐車場) | |
公式Webサイト | – | |
備考 | 元は一町余り南に鎮座 |
参考文献
- 「大麻比古神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
- 「大麻比古神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 教部省編『特選神名牒』磯部甲陽堂, 1925(国会図書館デジタルコレクション 421コマ)
- 式内社研究会編『式内社調査報告 第二十三巻 南海道』皇學館大学出版部, 1987
- 徳島県神社庁教化委員会編『改訂 徳島県神社誌』徳島県神社庁, 2019
- 谷川健一編『日本の神々 神社と聖地 第二巻 山陽・四国』白水社, 1984
- 永井精古『阿波国式社略考』(佐伯有義編『神祇全書 第一輯』思文閣, 復刻版, 1971.所収)
- 度会延経『神名帳考証』(佐伯有義編『神祇全書 第一輯』思文閣, 復刻版, 1971.所収)