苕野神社(浪江町大字請戸字東迎)

苕野神社。

浪江町の請戸港そばに鎮座。

式内社 苕野神社の論社。

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境内

社頭

 

参道

 

大きな碑が倒れていました

 

倒れた社号標

 

鳥居の上部

 

碑の破片

人の名前が多く刻まれていることから、新築or改築記念碑だと思われます。

 

狛犬

 

震災前の写真を見るに、これは狛犬の台座のようです

 

鳥居の基礎部分

 

かつては左右に狛犬、正面に鳥居と玉垣があったようです

 

社殿跡付近に倒れた碑(社号標?)

社殿

拝殿跡

 

本殿跡

小さなお社は仮社殿。岡山県神社庁と岡山県神道青年会、東京都神社庁の支援により設置。岡山のいのうえ社寺工匠株式会社からの寄贈だそうです。

 

2016年末に訪れた際には、刀が立て掛けられていました

 

本殿跡の後ろにも何らかの台座のような石組みがありました

境内社等

震災前には、境内社として祖霊殿・日吉神社、山祇神社、黄金山神社、金比羅大明神・波切不動宮があったそうですが、全て津波で流失してしまっています。

 

参道左の車道から

手前に破損した狛犬、中央奥に山神塔があります。

 

狛犬

下の木組みは境内社の跡でしょうか…

 

破損した狛犬

 

境内左手

瓦礫が散らばっていました。奥に写る家の様子が、津波の恐ろしさを物語っていました。

周辺

周辺の道路

 

この辺りも宅地だったのだと思います

 

参道付近から南を臨む

正面に小さく、福島第一原発の排気筒が見えます。

由緒

創建時期は不詳。

『奥相志』所引の『縁起』によれば上古人皇の始めの創祀。

『全国神社名鑑』によれば景行天皇の時代に勧請され、元正天皇のころ社殿造営。延暦年間坂上田村麻呂が東征のおり当社に祈願、神殿を造営したとされます。

『明治神社誌料』には、「養老年間高龗神を同村海岸苕野小島に勸請す」とあります。

『東奥標葉記』によれば養老元年(717)に荒氏が請戸小島に社を建て奉斎したとされます。

 

『明治神社誌料』『東奥標葉記』にあるように当初は請戸沖の苕野小島に鎮座していたとされ、その後島が波で崩壊・海没したため現在地に遷座(この島は海中に暗礁として残っているそうです)。

 

延喜式神名帳にみえる「陸奥国標葉郡 苕野神社」に当社をあてる説があります。

 

保元年間(1156~59)、当地を支配した標葉左京太夫平朝臣隆義が社殿を築造し氏神として奉斎。

明応元年(1492)以降当地を領した相馬氏もまた当社を奉斎、社領寄進・造営を行ったとされます。

 

当社は茨城県稲敷市に鎮座する大杉神社(通称安波様〔あんばさま〕、位置)と深い関係があります。

寛政2年(1790)の棟札に「貴布根大明神大杉稲荷両社・奉修理本社祝詞屋拝殿玉垣鳥居新草創云云」とあることからこれ以前に大杉大明神が勧請されていたと考えられます。

寛政4年(1792)の棟札に「奉勸請太杉大明神鳳連一社云々」、文久2年(1862)の棟札に「奉再健大杉大明神云云」とあり、大杉大明神の神輿が寛政4年に勧請され、文久2年に再建されたことがわかります。

毎年2月の安波祭では、海上安全と大漁満足の祈願とともに、五穀豊穣を祈念した「請戸の田植踊り」が奉納されてきました。

 

明治4年郷社、大正13年県社列格。

 

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う津波により、当社の社殿は完全に流失、宮司さんとご家族も犠牲となりました。福島県神社庁管内の神社のうち、震災で唯一神職の犠牲があったのが当社だとのことです。

また、原発事故の影響で警戒区域に指定され、2017年3月までの間は許可なしに立ち入りができなくなりました。

2012年に、当社の分霊社である飯舘村の綿津見神社から御分霊を受け、写真掲載の通り本殿跡に仮社殿が設置されました。

結婚し県外へ移られていた前宮司の三女の方が宮司に就任されている、とのこと。

 

 

祭神は現在、闇淤加美神、五十猛神、大屋津姫命、抓津姫命とされています。

 

明治3年の棟札、明治45年の『明治神社誌料』は高龗神一神のみとしていますが、明治38年の『大日本名蹟図誌 磐城石代之部』は高龗神に加え五十猛命、大屋津姫命、抓津姫命の三神を挙げ、この時期に五十猛命以下三神が合祀されたようです。

 

昭和以降の各書では高龗神に代えて闇淤加美神を挙げています(二神は同一との見方もあるので、実質変更なしと思われます)。

高龗神(闇淤加美神)は後から勧請されたとみられ、当社本来の祭神は別だと考えられているようです。

式内社調査報告では『東奥標葉記』の「貴布禰と稱號すること近代也」という一節を挙げ、勧請はさほど昔に遡らないであろう、としていますが、前述の通り『明治神社誌料』は養老年間、『全国神社名鑑』に至っては景行天皇の時代の勧請としており、相違が生じます。

 

さておき、当社祭神について以下のように各書に異なった縁起が伝えられています。いずれも渡海してきた女神という点は共通しています。

  1. 昔、人皇の始め頃奥州標葉群苕野沖からに一艘の磐楠船が岸に流れ着いた。船中に神女が9柱おり、霊光と美顔は尋常でなかった。怪しんだ阿部という強者が矛を握り怒って神に向かうが、村老の新汐渡媛なる夫婦がこれを制止した。夫婦は神女を尊崇し茅の庵を作り神居とした。翌朝神居に行くと瑞雲が神居を覆い薫香が匂いたっていた。神女達は夫婦に「私は東国に留まり、私達を信ずる者を国家安全、武運長久、子孫繁栄にして横死横難を防ぎ、特に海上の逆波を鎮め船の難から救う。苕野の小島に宮居を建て苕野の神と祭れ」と告げた。教えの如くすると、船が難風にあってもこの神この神に祈ると海は直ちに鎮まるのだった。養老年中、元正天皇この話を聞き、神像9柱を作り宮祠に祀った。年を経てこの神を祭った小島は波で崩れたので、現在の地に遷し祀った。(『奥相志』所引『縁起』)
  2. 請戸の神は、天竺(インド)又は震旦(中国)国王の后である。この夫婦は仲が悪く、后を空舟に乗せ海に流したところ請戸沖に流れ来た。漁をしていた村人の阿部氏がこれを見つけ怪しんで遠海へ引っ張り出した。別の村人の荒氏が釣りをしていたところ、その舟が寄ってきたため岸に着けたところ女がいた。上陸し養い、その後祠を波打ち際に建てこの女人を村の守り神として祀った。昔は何という神かわからなかったので、神託を聞こうと協議され、神楽を奏した。すると貴船明神と仰ぐべしと神託があった。よって貴布根と称し、また地名から請戸明神とも号した。 (『奥相志』所引『寺社好問志』)
  3. 古老曰く、昔この大明神は新羅国から請戸の小島に現れた女神である。その時阿部氏と荒氏がこれを拝した。阿部氏は何もしなかったが、荒氏は小島へ社を造って氏神として祀った(『東奥標葉記』)

 

他に、『奥相志』によればある書に、請戸神は元正帝養老年中神女波に浮びて出現す、とあるそうです。

また新汐渡媛夫婦の歌として、「栄え行く松に契りて万代の蔭を請戸の浜に住むらん」を紹介し、「新汐渡媛は荒氏夫婦の神号か」と推察しています。

この他、『神名帳考証』『陸奥国式社考』は草野姫命としています。

 

いずれにせよ、本来の祭神は正確には不明。

御朱印

御朱印は震災以前にはありました。

(私は震災前に参拝していないため未拝受ですが、画像をネットに公開している方がいます)

現在は状況ゆえ、授与はされていないと思われます。

所感

神社側の海岸に立つ、復旧工事の案内

かつてのお祭りや、漁港の写真が載っていました。

状況を把握した上での参拝でしたが、実際に惨状を目の当たりにすると言葉が出ませんでした。ボランティア等参加していない身で祈るだけというのも手前勝手な話ではありますが、当社、そして請戸地区・浪江町の復興を祈願させていただきました。

アクセス

国道6号を高瀬交差点で東に折れ、海の方へ進みます。

3kmほど先、海のすぐ手前に当社が鎮座しています。

私の参拝した2014年末はまだ当社のある請戸地区は立入るのに許可を得る必要がありましたが、2016年8月現在は日中であれば自由に立入ができるようです。

 

※2017/8追記

2017/3/31を以って、浪江町の避難指示解除準備区域・居住制限区域に設定されていた区域は避難指示が解除されました。避難指示解除準備区域であった請戸も立入制限は解除されているので、いつでも自由に訪問可能です。

神社概要

社名苕野神社(くさのじんじゃ)
通称

安波様

明神様

旧称

貴布根大明神

浮渡明神祠

大杉大明神

安波大明神

住所福島県双葉郡浪江町大字請戸字東迎38
祭神

闇淤加美神

五十猛神

大屋津姫命

抓津姫命

社格等

式内社 陸奥国標葉郡 苕野神社

旧県社

札所等
御朱印過去にあり、現在震災の影響により不明(おそらくなし)
御朱印帳
駐車場不明
公式Webサイト
備考

コメント

  1. 赤城おろし より:

     御朱印、前宮司さんより頂いてます。
     震災以前の11月23日、新嘗祭で一杯入ってる所で「ここにお願いします」と言って帳面を開いて出したのに「ここが空いてたんで、こっちに書いておいたよ」ってんで…。
     まぁ、今となっては懐かしい思い出となってしまいました。

  2. たんぽぽろぐ より:

    >赤城おろしさん
    こんばんは。
    こちらの御朱印、頂いていたんですね。
    今はこちらの避難指示が解除されて氏子さんが戻り、神社も再建され祭事も復活するくらいに復興するのを願うばかりです。

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