子鍬倉神社。
常磐線いわき駅の西約500mの場所に鎮座。
式内社 子鍬倉神社に比定される神社。
境内
表参道の階段
社号標
鳥居
鳥居をくぐると灯籠と社殿が見えてきます
階段上にはいなり幼稚園の門柱
かつてここに幼稚園があったそうです。
参道
右手に手水舎とベンチ、左手に古い手水鉢
狛犬
社殿
拝殿
扁額が二つ
本殿
木でよく見えませんが…
他に額殿(旧拝殿)が現存するそうなのですが…
拝殿左後方にあるこの建物かと思いましたが、不明
境内社
拝殿脇の金刀比羅神社
扁額が2つあるのですが「金刀比羅」か「金比羅」かどっちなんでしょう
八坂神社の鳥居と社号標
八坂神社拝殿
扁額
八坂神社本殿
元は牛頭天王社と称し、『磐城志』によれば「内廓大手通り六間門の内北側の士邸の地にありしを揚土の臺子鍬倉の同境に移されたり」とのこと。子鍬倉神社と同じく、平城三社の一つで旧村社。社格があったことからかつては同境内で独立した神社だったのでしょうが、現在もそうであるかは未確認。
天満宮鳥居
天満宮拝殿
天満宮本殿
秋葉神社
天満宮と秋葉神社は八坂神社の末社だそうです。
祠群
他に明治神社誌料に鷺森神社、平成祭データに鏡稲荷神社の記載がありますが詳細不明。
由緒
創建は大同元年(806)と伝えられます。
延喜式神名帳に「陸奥国磐城郡 子鍬倉神社」としてその名が見えます。
縁起類が残っていないため、当初の鎮座地や祭祀は不明。
「子鍬倉」の社名は、「子」は蚕を意味して「衣」を代表、「鍬」は農具を意味して「食」を代表、「倉」は古代における物品出納の場所を意味して経済即ち「住」を代表と、「衣食住」を表す社名なのだそうです。
寛文9年(1669)頃の『磐城風土記』には「只有二其四座一、無二二俣・佐麻久嶺・子鍬倉三之遺址一」とあり、この時期には荒廃し社地すら不明になっていたことがわかります。
また、「稲荷神祠在郭内」とあり、この時点ではまだ稲荷社を子鍬倉神社にあててはいません。
その後の『磐城志』には「さて子鍬倉は本櫻町の士邸の内にありしとみへて今に其迹に稲荷の小社残れり往歳其邊りより曲玉を出せることあれば古蹟たること疑ひなし其後今の揚土の臺に遷されたり今神號を子鍬倉稲荷大明神と稱す」とあり、平桜町(現在の磐城桜が丘高校内)にあった稲荷社を子鍬倉神社に比定し(周辺で勾玉等が出土したため)、現社地の揚土に遷し子鍬倉稲荷大明神として祀ったことが記されています。
(『明治神社誌料』では、磐城志の記述として「其後今の揚土臺、牛頭天王社の域内に移されたり」という内容を挙げ、現社地に先に牛頭天王社が移され後から子鍬倉神社が移されたとしていますが、『岩磐史料叢書(下)』収録の磐城志にはその記述が見られないため、どこからの引用か不明。別の写本があるのかもしれません。したがい、現社地への遷座は子鍬倉神社・八坂神社いずれが先かは不明)
なおこの稲荷社は慶長7年(1602)鳥居忠政が平城を築くに当たり社地を収め、神社修復を怠り荒廃していたようです。
移転の時期ははっきりとはわかりませんが、同じく所在不明とされていた二俣神社・佐麻久嶺神社がそれぞれ天和2年(1682)、同3年(1683)に現社地に遷座建立の記録があることから見て、同時期だと考えられます。
遷座後は稲荷信仰と結びついて磐城四郡(磐城・磐前・菊多・楢葉)の総鎮守、平城三社の一つとされ崇敬を集め、平城主は代々神領20石を寄付しました。
天保2年(1831)火災により社殿・古文書・神宝を焼失。
嘉永3年(1849)社殿再建。
明治6年3月に県社兼郷社に列格。
祭神は宇迦之御魂命とされています。
これは前述の通り稲荷社を比定したことから引き継がれているものと考えられています。
『神社覈録』には「祭神詳ならず」、『神名帳考証』には「璽神、木靈、蠶桑靈」とあります。
御朱印
御朱印はあります。
境内右手にある社務所で拝受可。
オリジナル御朱印帳も近年出来たようです。
いわき市小川町鎮座の二俣神社の御朱印もこちらでいただけます。
アクセス
いわき駅南口の交差点を西へ。
400m程進んだところ(位置)からさらに直進し、細い登り坂に入ります。
カーブを曲がり少し進むと神社の看板が見えますので(位置)、そこを左折すれば境内。
境内端(入ってすぐのあたり)に駐車できます。
神社概要
社名 | 子鍬倉神社(こくわくらじんじゃ) | |
---|---|---|
通称 | 県社 | |
旧称 | 子鍬倉稲荷大明神 | |
住所 | 福島県いわき市平揚土30 | |
祭神 | 宇迦之御魂命 | 現祭神 |
璽神、木靈、蠶桑靈 | 『神名帳考証』 | |
社格等 | 式内社 陸奥国磐城郡 子鍬倉神社 旧県社 | |
札所等 | – | |
御朱印 | あり | |
御朱印帳 | あり | |
駐車場 | 境内駐車可 | |
公式Webサイト | – | |
備考 | 旧地は平桜町(現在の磐城桜が丘高校内) |
参考文献
- 「子鍬倉神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
- 「子鍬倉神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 式内社研究会編『式内社調査報告 第十四巻 東山道3』皇學館大学出版部, 1987
- 明治神社誌料編纂所編『府県郷社明治神社誌料 中巻』明治神社誌料編纂所, 1912(国会図書館デジタルコレクション 396-397コマ)
コメント
こんばんは。
讃岐シリーズは完了して、ようやく東北ですね。
更新楽しみにしています。
>御津垣さん
こんばんは。
これからしばらく福島の神社編になります。
のんびり更新ですが、よろしくお願いします。