貴船神社(南相馬市小高区仲町)

貴船神社。

南相馬市小高区仲町に鎮座。

式内名神大社 多珂神社の論社。

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境内

小高川に掛かる橋(川向こうに相馬小高神社)

 

鳥居

 

社号標

 

手水舎

 

参道直進して、左手に二の鳥居

 

狛犬

社殿

拝殿

 

扁額

 

本殿

境内社等

月山大神 羽黒山大神 湯殿山大神 の碑

 

皇太神の碑

 

手前に山神碑、木の根元に馬頭観音碑、その左の碑は読めず

 

庚申石

 

御神木かと思ったけれど、違うかも

由緒

貴船神社由来記

御祭神 高龗神 闇龗神

本社は延喜式内名神大社多珂神社と同床同座に座まして御創建は平治元年行方家初代五郎隆行が多珂神社に雨乞いの由を後鳥羽天皇文治3年の古文書に見えるのでそれ以前の創建なる事明かなり藩主相馬師常は文治5年より行方郡総社として崇敬せらる建武2年相馬重胤が小高城築城の際堀内に鎮座の本社を小松庄二本松即ち現在地に神社を寄進し御遷座せらる昭和4年12月銅板葺に御屋根替し昭和33年都市計画の為に境内の一部を削取されたので西方に取拡げ社殿も亦西に遷し一部を改築し奥殿礎石と玉垣を奉納同年8月14日御遷座を執行す

 

境内由緒板

貴船神社に祭られている2神は、雨を司る竜神であり、また五穀豊穣や出世・武芸を司る神である。

現在では、火災を防ぐ火伏せの神としても崇められ、毎年1月の第2日曜日には火伏せ祭り(鎮火祭)が行われている。火伏せ祭りでは、神楽により悪魔を払い、火伏せなどを祈願し、行列をつくり神輿を担いで町内を巡行する。また、当日早朝にはお札などを焼くどんど焼行事も行われている。

貴船神社の来歴は定かではないが、一説によると、相馬重胤が行方郡(現在の原町区、小高区など)に移る元亨3年(1323)以前から、信仰を集めていたとされる。

現社殿は、文政7年(1820)の造営とされており、昭和33年(1958)には道路工事に伴い、もとの位置より北西に10m程移転し、現在に至っている。

祭神 高龗神(タカオカミノカミ) 闇龗神(クラオカミノカミ)

祭礼 1月第2日曜日 火伏せ祭り(例祭)

8月2日 稲祈祷・疫病除祈祷

11月24日 新穀感謝祭

創建時期は不詳。

由緒によれば平治元年(1159)以前。

 

『奥相志』には、神体を収めた箱に保延5年(1139)8月に造営されたという銘文がある、とあります。

この御神体は「龍にまたがり白衣を着た像」とのこと。

 

相馬師常が文治5年(1189)より行方郡総社として崇敬。

建武2年(1335)相馬重胤が小高城築城の際、堀内に鎮座していた本社を小松庄二本松(現在地)に遷座。

 

文化12年(1815)藩命による式内社調査の結果、延喜式神名帳の「陸奥国行方郡 多珂神社 名神大」は高邑の光明寺境鎮座の鷹大明神(=現・原町区高の多珂神社)とされました。

 

 

これに対し貴布禰神社(当社)祠官の高玉丹波が異議を呈します。

その内容としては…

  • 多珂神社は三種の神器のうちの八尺瓊勾玉を地主神として勧請した神社で、古より小高村の地主神であった。
  • 祠官家は「多珂玉」と名乗っていたが、多珂神社に憚って「高玉」と変えた。
  • 小高郷の名前は多珂神社を「御多珂」と称したことに由来する。
  • 多珂神社は当社から十間(約20m)ほどの場所に鎮座していたが、元禄年間(1688年~1704年)の洪水で流され、農夫が水中から祠を拾い上げて当社に合祀。

これを受け、文政2年(1819)には社家の長田代左京進は当社を式内社と認めますが、それまでの報告と異なっていたため再調査が命じられ、文政3年には主張の根拠である御正体や棟木を提示…と、論争は続いたようです。

 

『奥相志』では以下の理由から高玉丹波の主張に疑義を呈しています。

  • 元禄・宝永・文化の調査に当社が現れないこと(御正体のことを奏したのも文政3年)
  • 御多珂を小高に改めたというが、元亨以来の文書に皆小高とあり、御多珂の例はないこと
  • 元禄・正徳の社家名簿に高玉氏の名はなく、初見は寛保元年(1741)であること

 

明治になり、相馬氏(相馬藩6代藩主昌胤の4男福胤を祖とし、維新時には家老を務めていた)が宮司となり、その家柄の権威をもって式内論争に決着がつけられた、と『式内社調査報告』はいいます。

この時に当社は式内社ではないと判断されたのでしょう。

 

昭和33年(1958)道路工事に伴い、もとの位置より北西に10m程移転。

御朱印

御朱印の有無は不明。

多分ないんじゃないかと思います。

本務社は相馬小高神社。

アクセス

相馬小高神社と、小高川を挟んで対岸に鎮座します。

駐車場はないので、相馬小高神社の駐車場をお借りするのがいいと思います(ほとんどの人はこちらお参りする時は相馬小高神社もお参りするでしょうし)。

 

小高駅近くの大井交差点(位置)で国道6号から西へ。

900mほど先、小高区役所前(位置)で右折。

300mほど先(位置)、「相馬小高神社←」の案内が立っているので左へ。

その先にも案内があるので、それに従い砂利道を登っていくと小高神社前の駐車場に出ます。

 

小高神社の参道を下り、社前の赤い橋を渡ったところに貴船神社があります。

神社概要

社名貴船神社(きぶねじんじゃ)
通称
旧称
住所福島県南相馬市小高区仲町2-50
祭神

高龗神

闇龗神

弥都波能売神

社格等

式内社 陸奥国行方郡 多珂神社 名神大

日本後紀 延暦十五年十月己卯(廿二) 多賀神 従五位下

旧村社

札所等
御朱印不明(なし?)
御朱印帳
駐車場なし
公式Webサイト
備考

参考文献

  • 「南小高村」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
  • 「貴船神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
  • 式内社研究会編『式内社調査報告 第十四巻 東山道3』皇學館大学出版部, 1987