高座神社(南相馬市原町区押釜字前田)

高座神社。

常磐線原ノ町駅の西4.5kmほど、押釜字前田に鎮座。

式内社 高座神社に比定される神社。

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境内

鳥居

 

扁額

 

社号標

 

狛犬

 

参道

 

社殿前の狛犬

 

手水舎

 

御神木?

社殿

拝殿

 

扁額

 

拝殿内の扁額

 

本殿覆屋

中の本殿は木羽葺流造とのこと。

境内社等

太神宮・大国主神・山神の石碑

境内社はありませんでした。

由緒

境内由緒碑

高座神社由緒記

一.所在地 相馬郡石神村大字押釜字前田二七七-一番地

一.社格 神社名 郷社高座神社

一.祭神 伊斯許理度賣命

一.御神体 長サ五寸

一.例祭 旧三月二十日

一.由緒

当社ハ延喜式所載行方八社ノ一ナリ然レドモ縁起ノ書ヲ失ヒ鎮座来歴不詳伝ヘ曰フ遠古ハ大社ニシテ摂社末社多ク社内広大ナリ今瓦石砕ケテ諸所ニ埋ルモノ夥シ大華表小野寺ヶ崎(馬場押釜大木戸三邑ノ界赤柴山東ノ出崎)ニ建ツ共ノ跡有リ古老之ヲ伝フ蓋シ戦世兵火ニ罹リ衰廃セルモノカ再建セルモ古ニ復セズ小社トナル古昔邦君ヨリ神田一貫十八文ヲ寄ス慶長七年(一六〇二年)家康公ノ為メニ相馬領地ヲ納メラレ今年旧封ヲ返賜サル此ノ時ニ当リ社司幼ニシテ社田ノ事ヲ稟セズ故ニ爾後社田無シ昔時公ヨリ境内ノ諸木ヲ伐リ新ニ圃ヲ墾ク此ノ地元文(一七三六年)ノ頃ヨリ荒蕪ニ帰スト云フ是ヨリ先遠藤八郎左衛門ナル者当邑ノ内ヲ食ミテ居タリ故ニ神祠ヲ古ノ社地ノ北端ニ建テテ護神ト為ス安永三甲午年(一七七四年)再建ノ棟札有リ以来棟札五枚アリ寛政十一巳年(一七九九年)野火ニ罹リ宮焼失ス此ノ時公ヨリ社地ノ杉数百本ヲ売リテ金十一両二分ヲ賜ヒ宮祠ヲ再興ス文化十二乙亥年(一八一五年)三月邦君行方八社ヲ糺ス高座神社ノ故事ヲ奏ス此ノ年六月行方八社ノ一ニシテ旧社ノ故ニ永続ト為シ一石ノ田ヲ貸シ社料ト為ス

社伝によれば、創建は大同元年(806)4月20日。

この日に社殿悉く造営と伝わります。現在、この日は例大祭となっています。

 

延喜式神名帳にみえる「陸奥国行方郡 高座神社」は当社に比定されています。

 

『奥相志』や上掲の由緒記によれば、古くは大社であり、広大かつ摂末社も多かったものの、兵火に罹った後再建するも小社となってしまったとされます。

この頃の大鳥居跡が小野寺ヶ崎(馬場押釜大木戸三村の境、赤柴山東の出崎)にあるという伝えがあるそうですが、現在のどの場所にあたるか不明。赤柴という字は当社の南東にあるのですが。

また、当初は高野倉(現在の南相馬市原町区高倉)に鎮座していたという資料もあります。

とはいえ、現在の押釜へ遷座の時期についての記述は見つけられず。

 

相馬氏より神田一貫十八文を寄進(時期は神社明細帳によれば文安年間(1444~49))されたものの、慶長7年(1602)徳川氏に相馬氏領地が一時収公された際、社司が幼少だったため社田の事を申し出なかったため、以来社田がないとのこと。

その後(元文より後)に相馬家臣遠藤八郎左衛門という人が押釜村に住み、古の社地の北端(かつて広大だったと伝わる社地の北端を指すか)に祠を建てて護神とするものの、同氏が去った後は荒廃。

 

安永3年(1774)再建されるも、寛政11年(1799)野火により焼失。

この火災の後、相馬氏が社地内の杉数百本を伐り、金十一両二分を下賜し祠を再建。

文化12年(1815)、相馬益胤の命による渡辺美綱の調査において式内社・高座神社とされ、維持のため一石の田が貸与されました。

 

明治8年(1875)郷社列格。

 

祭神には複数の説があります。

  1. 伊志許理止売命(神社明細帳)
  2. 高御産巣日命(特選神名牒)
  3. 倉稲魂(神社覈録)/稲荷大明神(旧神祠記)
  4. 高倉下命(神名帳考証)
  5. 伊弉冉尊・熊野高倉下命・武甕槌命(奥相志)
  6. 伊弉冉尊・泉守道者・菊理媛(奥相志)

4については、社名との付会であろうと『式内社調査報告』で推察されています。

ただ、同書に「明細帳に『当社祭神ハ石許理度女命、一名ハ高倉下命ナリ』とある」との記述が見られるのが気になるところです。

5、6については当社が江戸期、式内社に擬される以前は白山権現と称していたことに基づく祭神のようです。5の方は伊弉冉尊以外白山権現とは関係がなさそうなイメージですが、当時の祭神なのでしょうか。

特に6についてはこの三神を以って白山三所という、とのこと。

御朱印

御朱印の有無は不明。

ネット上では、本務は相馬太田神社(位置)で、御朱印はなしという情報が見受けられました。

アクセス

原ノ町駅から西へ(県道262号→62号)。

常磐自動車道の下を潜った先(位置)で南へ。

800mほど行ったところ(位置)で、右手の民家の方に砂利道が続いており車で入って行けます。新しい道だからなのか私道だからなのか、Google mapだと確認できません(航空写真なら見える)。

 

こんな道です

ここを入っていき、民家の前を通り過ぎるとすぐに神社があります。

ちゃんとした駐車場というわけではないと思いますが、神社前に多少スペースがあるので駐車は可能。

神社概要

社名高座神社(たかくらじんじゃ)
通称
旧称白山権現
住所福島県南相馬市原町区押釜字前田277
祭神

伊志許理止売命

神社明細帳

高御産巣日命

『特選神名牒』

倉稲魂/稲荷大明神

『神社覈録』

『旧神祠記』

高倉下命

『神名帳考証』

伊弉冉尊

熊野高倉下命

武甕槌命

『奥相志』

伊弉冉尊

泉守道者

菊理媛

『奥相志』(一説として)
社格等

式内社 陸奥国行方郡 高座神社

旧郷社

札所等
御朱印不明(なし?)
御朱印帳
駐車場なし
公式Webサイト
備考かつては高野倉(現在の南相馬市原町区高倉)に鎮座していたという説もあり

参考文献

  • 「押釜村」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
  • 「高座神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
  • 式内社研究会編『式内社調査報告 第十四巻 東山道3』皇學館大学出版部, 1987
  • 明治神社誌料編纂所編『府県郷社明治神社誌料 中巻』明治神社誌料編纂所, 1912(国会図書館デジタルコレクション 454コマ