大川上美良布神社。
香美市香北町韮生野、アンパンマンミュージアムの北に鎮座。
式内社 大川上美良布神社に比定される神社。
境内
社頭
一の鳥居
扁額
二の鳥居
扁額
狛犬
手水舎
境内北西の鳥居
手前の標識に「前方鳥居あり」という珍しい表示が。
鳥居前の狛犬
境内南東の鳥居
社殿
拝殿
扁額
本殿
本殿の彫刻
社殿は慶応元年に起工、明治二年に再建されました。拝殿・幣殿・本殿の屋根は美しくゆるやかな勾配と軒の反り、それに千鳥破風と唐破風でたくみに変化を持たせた優雅な建物となっています。
屋根は杮葺きであったものを昭和四十八年に銅板で葺きかえました。
三殿とも総檜で宮大工の名匠島村安孝を棟梁とし他三人の大工が腕を競い合いました。中でも彫刻は「土佐随一」であり、当時は「土佐日光」とも言われました。
本殿正面の虹梁の上中央には島村安孝作の応神天皇と原卯平作の武内宿祢・右側には坂出定之助作の神功皇后・左側には別役杢三郎作の三韓の使者が貢物を奉るようすが刻まれています。
本殿南脇障子の彫刻は源三位頼政が鵺を射止めて帰る光景で頼政は天皇より賜った侍女あやめを伴い、侍者猪早太は鵺を背負っています。
北面の脇障子は烏帽子に直垂姿の平經盛が、鹿を射止めた様子が刻まれています。二つの脇障子の彫刻は島村安孝の作で、どれも力強い彫刻のあとがみられます。
本殿腰欄間はいずれも原卯平の作で、北側に宋の司馬温公が幼い頃水甕に落ちた友を救うため甕を打破って溺れる友を救う様を、東側には虎と竹、及び虎の波乗りを、南面には浦島太郎が亀に乗って竜宮に赴く様が彫刻されています。
境内社等
通夜殿
当社の境内では、元禄の頃より毎年狂言が行われ郷土文化の向上に大きな貢献をしてきた。明治2年社殿改築と共に通夜殿が建立されると郷民は殿内に回り舞台を設けて長い伝統をもつ狂言が催された。回り舞台は県下にも数少ないものである。
琴平神社 合祭 秋葉神社
御崎神社
若宮神社
境内社
忠魂社
忠魂碑?
土俵
韮生高等小学校跡地碑
神庫
登録有形文化財(建造物)。文化遺産オンラインによる紹介を引用。
大川上美良布神社神庫
桁行三間梁間二間、庇付の二階建土蔵。切妻造平入、置屋根形式。二段に水切瓦を廻し、腰壁は四面で異なる土佐漆喰の鏝仕上げとする。随所に彫刻を嵌め込んで飾り、北妻の雲形の窓上部は天邪鬼が唐破風状の庇を支え、鬼と雲の鏝絵で飾り特徴ある外観を見せる。
庇を支える天邪鬼
御神木の杉
場所/香北町韮生野字大宮243番イ号地
樹種/杉 樹高/40m
樹齢/1,000年 周囲/6.1m
(由来)
大川上美良布神社の境内には、多種類の樹木が生い繁り、この緑の森は美しい社殿とともに神域の尊厳を保っております。
なかでも、ひときわ古いこの神木は、今からおよそ1,000年昔の平安朝のころ当時の人々の手で、無病息災、五穀豊穣を祈願して植えられたものといわれています。
「おおとさ びらふ ごばんぶり」の像
和歌山県和歌山市で生まれる。東京芸術大学で彫刻を学び1965年に高知大学へ赴任。多くの学生を指導し育てた。1972年文部省在外研究員としてイタリア、フランス、アメリカに留学。高知大学名誉教授。
県展でも活躍し、1967年に特選を受賞した『波』は波と女性をモチーフした代表作。県展審査員を通算25回務め、県展彫塑部門無鑑査。2001年に県展功労者。JR土讃線の鉄道高架事業では周囲に配慮したデザインを考える景観検討委員会の委員長を務めた。また高知県美術展覧会彫塑部の審査員や高知市展の代表委員会委員長に携わるなど、高知県彫塑の普及振興に尽力した。
2015年秋には芸術、教育活動などの功績が認められ高知県文化賞を受賞した。2016年6月8日没、享年78。2016年7月正四位瑞宝中綬章を綬章。
作品名『おおとさ びらふ ごばんぶり』は大川上美良布神社の秋季例大祭(11月3日)の神幸祭(しんこうさい)の渡御行列の『ごばんぶり』をモチーフにした1993年の作品。舩木氏が生前から当神社に奉納したいとの強い思いがあり、遺族の協力を得て設置した。台座は舩木氏がイタリアから取り寄せた大理石で、制作途中のものを加工した。
神馬?
力石
あなたも上げてみませんか、とありますが185kg…
バイキンマン像
由緒
香美郡香北町韮生野字大宮二四三番イ号地に鎮座。主祭神は大田々袮古命で、このほか縁故深い大物主命、活玉依比売命、陶津耳命、櫛御方命、飯肩巢見命、美良比売命、健甕槌命を合祀。
今から約二千年前の崇神天皇の時代に疫病が流行して万民が苦しんだ時、天皇は大物主命のお告げによって大物主命の子孫の大田々袮古命に神々を祭らせ、それ以来疫病が治まって人々は安んじて生活できるようになったといわれている。当神社の創建は今から約千五百年前の雄略天皇の時代といわれているが定かではない。しかし仁明天皇の承和八年以前より祭られていたという古い記述がある。
当神社は延喜式の式内社で県内では二十一社の一つの由緒深い神社で古くから韮生郷の総鎮守として崇敬されて来た。嘉永五年十二月二十四日勅宣により神階正一位を授けられている。
当神社の現在の社殿は明治二年に落成。当時の名工島村安孝、坂出定之助、原卯平、別役杢三郎等によって建てられ拝殿、幣殿、本殿には立派な多くの彫刻が残されている。この社殿は高知県保護文化財に指定されている。
夏祭 七月二十七日 七月二十八日
秋例大祭 十一月二日 十一月三日
創建時期は不詳。
伝承によれば雄略天皇の時代の創建とも。
続日本後紀 承和8年(841)8月辛丑(4日)条に「以土左国美良布神…並預官社」とみえるのが正史の初見。
また三代実録 貞観8年(866)8月7日条に「授土左国従五位下大川上美良布神従五位上」。
延喜式神名帳では「土佐国香美郡 大川上美良布神」とみえています。
『皆山集』『高知県神社明細帳』によれば、嘉永5年(1852)12月24日に正一位を授けられたとされ、これは時の神主有光近江が上京し受けたものだといいます。
明治5年県社列格。
社名の「美良布」は現在「びらふ」と読まれていますが、延喜式九条家本では「ミラフノ」と訓ぜられています。「ミラ」は韮(にら)の古称で、韮生(にらふ、にろう)と変化し、これに佳字をあて美良布になったとみられます。
また『皆山集』に、「古老ノ口碑ニ曰ク」として以下の伝説が載せられています。
古老の口碑
土佐國、神郡美良布大宮ノ神様御鎮座ハ天ヨリ参下リシ神様ヨリ廿三、四、五代目太長谷若建ト言神様ノ此國ヲ御支配ナサレタルトキ也。其時今所ニ御宮建立。ソレヨリ其地ヲ美良布野大宮所美良布郷ト云ハ、キツトイハレノアルコト也。此神様ハ火病クソヒリ時、行病亦暴風雨ノ時、其災令止玉イ救玉ヘト祈乞奉ラハ、其度毎ニ霊験有之、四方ノ里々ヨリ尊敬ノ社ニ候所、其后オホカシキ云神様此國御支配ノ時、大和國ト河内國美努村トニ祠其神様等ノ仰ニ我等ハカヘレトモ和霊は美良布宮ニ留ト仰テアツタト言フ。此事ハ昔ヨリ言傳也ト、西内越後、野中親孝等ノ口碑ノママヲ書記テ後世ニ傳フ。
また、当社には社宝として二個の銅鐸があります。
これらは国の重要美術品かつ、県の保護有形文化財。
一つは75.7cm、もう一つは67cm。
香北町五百蔵(当社のすぐ西の地域)からの出土とされ、古来「韮生の半鐘」「降鐘」と呼ばれ物部川の「せんが石」の上に並べ置いて雨乞に使われたといわれています。
アンパンマンミュージアムに保管されていますが、通常は非公開の模様。祭事の時に公開されることもあるようです。
祭神は大田々祢古命。特に異説はないようです。
御朱印
御朱印はあります。
宮司さんは非常駐ですが、郵送にてご対応いただくことが可能です(直に帳面に揮毫頂けるかは不明)。
社務所前に「やなせたかし先生の十二支御守」の申込書があり、それに御朱印希望の旨記載し箱に入れておくと郵送頂けるという情報をネットで見かけ、その形でお願いしました。
言うまでもないことですが、初穂料に加えて郵便代金もしくは切手もお納めください。
本来、連絡を入れないで御朱印のお願いをするのは失礼だと思っているのですが、朝6時の参拝で電話も憚られ、翌日に台風直撃という状況で焦っていたため後からの連絡も失念していました。
不躾なお願いにご対応いただいた宮司さんにこの場を借りてお礼申し上げます。
アクセス
高知市街地から国道195号を東へ。本道は路面電車沿いで狭いので、国分川手前あたりから少し北を走るバイパス(あけぼの街道)で行くのがおすすめ。
ひたすら東へ走ると、右手にアンパンマンミュージアムと道の駅美良布が見えてきます。
その区画の北東にある交差点(位置)を北に入るとすぐに神社。
駐車場は明示されていませんが、境内西の川を渡ったところに広い空き地があり(境内北西の鳥居右手から入る道がある)、そこだと思われます。
神社概要
社名 | 大川上美良布神社(おおかわかみびらふじんじゃ) |
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通称 | 川上様 |
旧称 | 大河上宮 川上大明神 |
住所 | 高知県香美市香北町韮生野字大宮243-1 |
祭神 | 大田々祢古命 |
合祀 | 大物主命 活玉依比売命 陶津耳命 櫛御方命 飯肩巢見命 美良比売命 健甕槌命 |
社格等 | 式内社 土佐国香美郡 大川上美良布神社 続日本後紀 承和八年八月辛丑(四) 美良布神 官社 日本三代実録 貞観八年八月七日己卯 大川上美良布神 従五位上 旧県社 |
札所等 | – |
御朱印 | あり |
御朱印帳 | – |
駐車場 | あり |
公式Webサイト | – |
備考 | – |
参考文献
- 「大川上美良布神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
- 「大川上美良布神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 式内社研究会編『式内社調査報告 第二十三巻 南海道』皇學館大学出版部, 1987
- 明治神社誌料編纂所編『府県郷社明治神社誌料 下巻』明治神社誌料編纂所, 1912(国会図書館デジタルコレクション 404-405コマ)