飯豊和気神社(郡山市三穂田町下守屋字飯森山)

飯豊和気神社。

郡山市三穂田町下守屋、妙見山の山頂に鎮座。

式内社 飯豊和気神社の論社。

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登山道

山へと続く道の途中に注連柱(?)

 

鳥居が三基(1つ目は折れていますが)

 

鳥居の少し先で舗装が終わり、山の中へと続く未舗装の林道になります(雪でよくわからないと思いますが…)

この手前あたりに数台程度の駐車スペースがあります。

 

林道

そこそこ雪が積もっていましたが、足跡があるので行けると思い登山。

クマが怖くて真冬に来たので覚悟はしていましたが…

 

しばらく登ると鳥居

雪道で下から30分弱だったので、普段ならもっと早く着くでしょう。

なお登山口からこの鳥居のちょっと先あたり(駐車スペースがある)までは、無雪期であれば車も通れるようです(ただし道は荒れ気味らしい)。

 

磐盥の碑

現在はここに手水舎はありません。

 

ここから傾斜が増します

車で上ってきた場合、この辺に停めて歩くことになると思われます。

妙見山のうちの境内地の部分(一部)を飯森山というそうで、ここから先の一気に標高が高くなる部分がそれにあたるのかもしれません(ただし山そのものの別名を飯森山とする記述もみられる)。

 

雪が深い…

この辺から足跡がなくなり、雪で元の道もわからなくなりました。

 

祠なのか灯籠なのか、埋もれてわからない…

 

石碑っぽいけど…

 

社殿下

社殿

拝殿

 

扁額

 

もう一つ扁額

 

本殿

境内

石がいくつかあり、いずれかが手水鉢ではないかと思うのですが…

 

雪を払ってみたら、新築記念碑でした

由緒

創建時期は不詳ですが、『相生集』は「饌津神上古より飯豊山へ垂跡、神亀元年妙見を配食」、『神社明細帳』は「神亀元年飯森山ニ勧請」とします。よって上古からの鎮座、あるいは神亀元年(724)の勧請に始まるのかと思われます。

 

延喜式神名帳にみえる「陸奥国安積郡 飯豊和気神社」ならびに、日本紀略 寛平9年(897)9月7日条に「授陸奥国坐正六位上飯豊別神…正五位上」とみえる飯豊別神を当社にあてる説があります。

 

由緒によれば、文禄2年(1593)2月正一位の宣旨があったとされます。ただし『相生集』は元文年中(1736~41)に正一位の宣旨ありとします。

寛永12年(1635)、野火のため焼失(『平成祭データ』は寛永13年の焼失とする)。このため中世期の記録が残されていません。

この火災の際には「神玉」が飛ケ森(乙ヶ森?)の大樹へ飛遷、神主が箱に封入し権宮へ奉遷したとされます。この神玉は稲霊の魂玉といい、現在に伝世しているとのこと。

寛永13年若松藩主加藤明成により社殿再建。

 

明治30年再度の焼失。明治43年再建。

明治40年村社列格。

現社殿は昭和56年に建てられたもの。

 

かつては甘酒神事・御種貸神事が行われていましたが廃絶。

甘酒神事は秋の例祭において行われたようで、『相生集』は「蒸たる米と水とを桶二つに入れて廣前に置く事也さて一夜にて必よき酒となりて一つのは味濃く一つのは味淡し是も必ずたかふ事なしといへり」と記しています。

御種貸神事は『平成祭データ』の由緒によれば「神前に供えた種籾を、信者へ貸し下げ翌年の祭典に新穀を返納させたが、何種の種が交じっていても雑穀とならず、主穀と同一となるという奇妙な稲霊の御種貸し」であったとのこと。

 

社前の樹立ちの中に無数の光が現れる「御竜燈」と呼ばれる現象が知られています。特に春の薄もやがかかった日に多く見られ、夕刻から明け方まで現れるといいます。

 

現祭神は御饌津神。

神社明細帳や『特選神名牒』がこの説を採っています。

度会延経の『神名帳考証』は保食神、『巡礼旧神祠記』は国常立尊とします。

『相生集』は正座息長足姫尊、右座御饌津神、左座妙見尊とします(『日本歴史地名大系』はこれについて「農耕守護の神である御饌津神を祀っていたが、のち息長足姫尊と妙見尊が合祀されたものと考えられる」とする)。

御朱印

御朱印はあります。

遥拝殿のある麓の八雲神社でいただけます。

2021年から郡山市三穂田町山口の日枝神社(位置)の兼務社となったそうで、現在はそちらでいただけるようです(山地の住人 りんさんより情報ご提供いただきました。ありがとうございます)。

アクセス

郡山市三穂田町下守屋地区の県道29号沿いに、妙見山の案内板が立っています(位置、一時破損していたようですが2022年現在は修復されているようです)。

郡山から25分、須賀川から20分程度で行けます。道はいくつもあるのでGoogle mapの経路案内など確認されるのがわかりやすいかと思います。

とりあえず上記の位置まで行ったら、北西側の農道っぽい道へ。しばらく進むと冒頭の注連柱や鳥居が路肩にあり、その先、右手に小さい駐車スペースがあります。

そこから先の未舗装の道を車で上ることも可能ですが、悪路のようなので運転に自信がない、車が傷つくのは嫌という場合は歩いて登るほうがいいでしょう。車で上った場合は、上にある鳥居の先の広場に停めることが可能です。

そこからは道なりに登るだけ。

麓から登った場合には40~60分くらいが平均タイムのようです(無雪期)。

なおクマの出没する地域ですので登山の際はご注意ください。

神社概要

社名飯豊和気神社(いいとよわけじんじゃ)
通称妙見様
旧称妙見社
住所福島県郡山市三穂田町下守屋字飯森山1
祭神御饌津神現祭神

保食神

『神名帳考証』

国常立尊

『巡礼旧神祠記』

息長足姫尊

御饌津神

妙見尊

『相生集』
社格等

式内社 陸奥国安積郡 飯豊和気神社

日本紀略 寛平九年九月七日 飯豊別神 正五位上

旧村社

札所等
御朱印あり
御朱印帳
駐車場あり
公式Webサイト
備考麓の八雲神社に遥拝殿あり

参考文献

  • 「飯豊和気神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
  • 「飯豊和気神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
  • 岩磐史料刊行会編『岩磐史料叢書 中巻』岩磐史料刊行会, 1917(国会図書館デジタルコレクション 105コマ, 111コマ
  • 式内社研究会編『式内社調査報告 第十四巻 東山道3』皇學館大学出版部, 1986