神明社〔添川神明社〕(秋田市添川字古城廻り)

添川神明社。

秋田駅の北約4.5km、添川字古城廻りに鎮座。

式内社 副川神社の論社。

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境内

ここが参道入口

入りづらいですが、車の間を抜けて奥へ。

 

参道(わかりづらい)

 

その先は石段になるので、安心できます

 

石段を登り切ると奥に鳥居…と中ほどにサッカーゴール

左手にもゴールがあって、グラウンドっぽいけれどネットがないので今は使われていない感じがあります。

 

鳥居

 

手水鉢

 

社殿手前両脇に立つ大きな木

 

狛犬

社殿

拝殿

 

扁額

真ん中が抜けているけど、神明社?

 

本殿

境内社

境内社

秋田県神社庁の当社ページには境内社として唐松神社の記載があるので、こちらがそうかも。

 

境内社?倉庫?

 

左の碑は青麻大権現、真ん中の碑は大聖不動明王?

由緒

境内由緒板

添川神明社

祭神 天照大御神

例祭 六月十一日

由緒

創始は不詳、この社に昭和三年六月十一日濁川八幡神社と三本松羽黒神社を合祀した。

又、古川巳一郎氏の屋敷神であったという。杉生大明神は現在この境内に建てられている。この社の宝物として「まんだら弓」がある。

延宝五年(一六七七)添川村に於て、藩主佐竹義處の前で火矢をば一町五反も射て、前矢後矢とも当たり、褒彰にあづかったと記している。古城廻りには、那智滝神社があったが、これも後に合祀された。

創建時期、由緒不詳。

 

昭和3年6月11日濁川八幡神社と三本松羽黒神社を合祀、村社列格。

ただし、秋田県神社庁の当社ページには「添川神明社は、昭和3年御大典記念に同地に鎮座の杉生(すぎう)大神(明神社と呼ばれていた)に、神明社、熊野神社、那智瀧神社、鹿嶋神社を合祀して、村社となる。」とあり、上記境内由緒書にある合祀された社に相違が見られます(那智滝神社は共通だが、由緒書には”後に”とある)。この相違の理由については不明。

 

いくつかのサイトで、菅江真澄が当社を訪れ、「副川神社」と同じ「杉生の神」を祀っていると指摘した、との記述が見受けられました。

『月迺遠呂智泥』に「又いづこにもゞ古き神趾はあるべけれど、今まさに添川といふ村ありて、そこに斎ふ杉生の神こそ副川の神社にておはしまさめ」なる記述があり、これを指すかと思われます。

その項には、「こゞにふるきみやどころのあり、杉生の神とまをして大名持命を斎ふ」ともあるため、杉生神=大名持命と取れますが、現在副川神社に擬される神社では大名持命を主祭神とする神社はありません。

 

なお、同書によれば、「いにしへこの神社は艮の方、こゞよりは56町隔て山際の長田といふ処に在り」とのこと。

当社東に現在も長田の地名が残るので、かつてはその辺りに鎮座していたのかもしれません。

式内副川神社新考

延喜式神名帳にみえる「出羽国山本郡 副川神社」については、現在大仙市の嶽六所神社が古社地で、江戸時代に八郎潟町の副川神社に遷されたというのが通説となっています。

当社を式内副川神社とする説を唱えたのは志賀剛氏で、『式内副川神社新考』という論文(秋大史学9号収録)や『式内社の研究』10巻で述べられています。

 

それによれば三代実録 元慶2年(878)7月10日条に、添河の俘囚は覇別、助川の俘囚と共に官軍に味方し賊80人を殺したとあることから、その忠戦によって当社が式内社に昇格したのだろうとされています。

また、当社西には古代秋田城があり、守護神として城輪神社、高泉神社、当社があって、貞観7年には城輪・高泉の2社は従五位下に、元慶4年には城輪神が従五位上に昇った。しかし添川神社だけは叙位されなかったので式内社となった、とも。

※『式内副川神社新考』では、国史見在社の城輪神を秋田市寺内児桜に鎮座の古四王神社としています。城輪神は酒田市の城輪神社が通説…というか他で古四王神社に当てているのを見たことがないですが。高泉神をどの神社に当てているかは不明。

 

そして、延喜式では秋田郡添川神社とすべきところを山本郡副川神社と記したことについては、山本郡は平鹿郡の北に続く郡なので、平鹿郡二座を書き終えて何気なく山本郡と誤った。社名も添川と意味も音も同じである副川と誤った、と推測しています(延喜式って法典なのに「何気なく」で間違えるものなんでしょうか…)。

 

御朱印

御朱印の有無は不明。

秋田県神社庁の当社ページにある宮司さん名から見る限り、本務社は八幡秋田神社のようです。

 

アクセス

秋田駅の北から県道15号を北上。

秋田自動車道の高架を潜って400mほど行ったところ、秋田東警察署旭川駐在所の先(位置)で左へ。

そのまま200mほど行ったところで右手に折れると参道入口(位置)。

奥にある民家へ入る道に見えて非常に入りづらいのですが、奥まで行ってみると冒頭の参道があります。

 

駐車場はありません。

上記の参道入口から少し北に行ったところ(位置)に、境内項に写真を載せているサッカーグラウンドのようなスペースの入口があって1台くらいなら停められます(ガードレールがあるので中には入って行けません)。

神社概要

社名神明社(しんめいしゃ)
通称添川神明社(そえがわしんめいしゃ)
旧称

杉生大神

明神社

住所秋田県秋田市添川字古城廻り51
祭神

天照皇大神

豊受姫大神

鹿嶋大神

杉皇大神

熊野大神

那智滝大神

社格等

式内社 出羽国山本郡 副川神社

旧村社

札所等
御朱印不明
御朱印帳
駐車場なし
公式Webサイト
備考

参考文献

  • 「神明社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
  • 式内社研究会編『式内社調査報告 第十四巻 東山道3』皇學館大学出版部, 1987
  • 志賀剛『式内社の研究 第10巻 東山道』雄山閣, 1986