酒人神社。
岡崎市島坂町に鎮座。
式内社 酒人神社に比定される神社。
境内
社頭
美酒発祥地碑
鳥居
個別に撮り忘れましたが、鳥居右手の木は夫婦のクロガネモチといいます。注連縄が巻かれていたので、ご神木ではないかと思われます。
扁額
社号標
手水鉢
狛犬
社殿
拝殿がなく、拝所にはカーポートが設置されています
『愛知県神社名鑑』によれば、昭和63年に社殿や倉庫焼失とあるので、その後本殿のみ再建されたのだと思われます。
本殿
境内社等
石祠
伊勢両宮 畝傍山東北山陵 後月輪東山陵 遥拝所
御神木 加條木(エノキ?)の碑
近くにあった木を撮ってみたのですがこれが御神木かは不明
由緒
食物の神様と酒人親王が祀られています。酒人親王は、6世紀ごろ中国から鍛冶や織物、大工、酒づくりの技術を持って日本に帰化した阿知使主の子孫で、朝廷の支配力が全国に及ぶようになった時期に、この地に移り住み、我が国で初めて清酒を醸造したと言われています。当地が、今も「坂人」と呼ばれているのも、このことに由来していると思われます。
創建時期は不詳。
『碧海郡誌』が引く村記によれば、貞観年中(859~77)、阿知使主の子孫・酒人親王が三河に下り、酒を醸造して朝廷に献じ、地元の人々がその徳を偲び在来の旧社に合祀した、とされます。
社伝では宇津左衛門なる人によって創建されたとも。
なお、この酒人親王による清酒の醸造は日本初だともされるそう(日本酒・清酒発祥の地といわれる所は他にもありますが)。
延喜式神名帳にみえる「三河国碧海郡 酒人神社」は当社に比定されています。
『三河国内神名帳』には「従五位上 酒人天神」とみえています。
当社北に宇於富久良(於富久良)という地があり、これが祠の謂れの跡であるとか、また宇久都志という田があり、これは神社地を田としたためであるといった伝えがあるといいます。
これらが現在のどの辺りを指すかは不明(当社北には田畑がたくさんある)。
中世頃から衰え、幕末には相当衰退していたようです。
『参河国官社考集説』によれば、坂戸村の東南田の中にあり、三本木の宮と称していたとのこと。
明治元年、明治天皇東幸の折、侍従を使者として幣帛を賜ったとも。
明治5年郷社列格。
『式内社調査報告』は、北西300mに文久2年(1862)に建てられた「本国官社廿六社之一酒人神社道」の石柱がある、としますが、現在は北150m程のお堂の脇(位置)にあります。間違いなのか、移されたのかは不明。
祭神は酒人親王で、倉稲魂尊を配祀。
酒人親王は、前述の通り渡来人・阿知使主の子孫とされます。
当社由緒以外にその名が見えないため詳細不明(検索しても当社関係以外は斎王で桓武天皇妃の酒人内親王のことしか出てこない)。
また別の祭神説として、新撰姓氏録に酒人造 日下部同祖(=彦坐命之後)とあるため彦坐命とする説、またやはり新撰姓氏録に酒人小川真人 男太跡天皇謚継体皇子菟王之後也とあり、和名抄碧海郡に小川郷があることなどから、酒人小川真人の祖菟皇子とする説があります。
配祀の倉稲魂尊については、江戸期に稲荷大明神として祀られていたことによるものだと思われます。
御朱印
御朱印の有無は不明。
アクセス
愛知県道44号と78号が交わる河野町西交差点(位置)付近にあります。どちらかの路線で行くといいでしょう。
たとえば44号で行くなら、国道1号を岡崎公園から西にいったところの矢作町加護畑交差点(位置)で南に折れるとか、国道23号を藤井ICで降りて、藤井インター交差点(位置)から岡崎方面(北東)に向かうとか。
駐車場はありませんが、境内東端にちょっとスペースがあるので(この辺)、そこに停められます。
神社概要
社名 | 酒人神社(さかんどじんじゃ) | |
---|---|---|
通称 | – | |
旧称 | 三本木の宮 酒人天神 | |
住所 | 愛知県岡崎市島坂町字木ノ元328 | |
祭神 | 酒人親王 | 現祭神 |
彦坐命 | 『神名帳考証』 | |
菟皇子 | 『特選神名牒』 | |
配祀 | 愛知県岡崎市島坂町字木ノ元328 | |
社格等 | 式内社 三河国碧海郡 酒人神社 旧郷社 | |
札所等 | – | |
御朱印 | 不明 | |
御朱印帳 | – | |
駐車場 | なし | |
公式Webサイト | – | |
備考 | – |
参考文献
- 「酒人神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
- 「酒人神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 愛知県神社庁編『愛知県神社名鑑』愛知県神社庁, 1992
- 式内社研究会編『式内社調査報告 第九巻 東海道4』皇學館大学出版部, 1988
- 明治神社誌料編纂所編『府県郷社明治神社誌料 上巻』明治神社誌料編纂所, 1912(国会図書館デジタルコレクション 828コマ)