大國魂神社(いわき市平菅波字宮前)

大國魂神社。

いわき駅の東約4kmほどの場所に鎮座。

式内社 大國魂神社に比定される神社。

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境内

駐車場そばの一の鳥居

鳥居をくぐり、道路を渡り、橋を渡って境内へ。

 

右に見える大きな木は御神木です。

 

県社と郷社の社号標

参道左右に立っています。

 

新しめな狛犬

 

手水舎

手水鉢の上には大黒様。

 

陽根石

御神体で、「ごもっともさま」と呼ばれているそうです。

 

二の鳥居

 

石段

 

石段上に狛犬

吽形は首から上が壊れてしまったようですが、顔面は無事だったようで、下に安置してあります。

 

拝殿前の狛犬

社殿

拝殿

 

扁額

 

見ての通り、本殿は修理中でした。右奥に見える緑のトタン小屋みたいなのは建設中の仮殿だったようです。新しい本殿も仮殿も既に完成済のようで、そのうち見に行きたいと思います。

 

神楽殿・宝物殿

神楽殿

 

宝物殿

 

境内裏手にある茅葺屋根の小屋

「菅村 まほろばの里」と看板が出ていましたが何なのか不明。

 

境内左側にある社務所から上記の茅葺小屋までの道には放し飼いのにわとりがたくさんいました

会津地鶏だそうです。ネット上で得た情報によれば、獅子舞に使う羽を確保するために飼っているんだとか。

鬼椿

当社所蔵の「石室記」によれば、延宝7年(1679)の春、社地東方の山裾に灌漑用水路の開削が進められた時、鬼椿と呼ばれる椿の根本で岩に当たってその下から石室が現れ、中から長さ一寸余の牛の角の如き小片2個、長さ7、8分で青石に似た管の如きもの7枚が出土。

その場所は田村麻呂が社を造営した折、討ち取った蝦夷の鬼の死骸を埋めたところで、鬼椿の名はその時植えられたことに由来するといいます。

写真は未撮影。

甲塚古墳

神社を出て、車道を社地北側の方に行くと、右手の田んぼの中に小さな丘のような場所が見えます

これは国指定史跡の甲塚(かぶとづか)古墳で、石城国造武許呂命の墳墓との伝承があります。当社の飛地境内だそうです。

直径37m、高さ8.2mで、築造推定年代は遅くとも5~6世紀と見られます。考古学的調査がされていないため正確な築造年代や内部構造は不明。

ただ、常磐バイパスの工事に伴う発掘調査により周辺から9基の古墳跡、150棟の掘立柱の建物跡、祭祀の溝などから、土師器や円筒埴輪、木器、木簡などが見つかっているそうです。

かつては頂上に「八方睨みの松」と呼ばれた松が立っていたそうですが昭和53年に枯死。「世継ぎの松」と呼ばれる二代目が植えられたもののそれも近年枯れてしまったようです。

 

甲塚古墳

 

 

中腹あたりにある祠と小さな松

明治初め頃までは頂上に甲明神という祠が祀られていたという話があるので、これは甲明神を再建したものでしょうか。祠の後ろの小さな松は三代目の松になるのでしょうか。

由緒

創建時期は不詳ですが、養老2年(718)に石城国がつくられた際、石城国造建許呂命によって奉斎されたといわれます。

東南方2kmの根岸遺跡には石城国府が置かれていたと考えられ、また周囲には甲塚古墳や夏井廃寺跡等の遺跡が多く残ることから古代文化の栄えた地であったようです。

石城国はまもなく陸奥国に編入、この地域は磐城郡に属します。

 

延喜式神名帳にみえる「陸奥国磐城郡 大國魂神社」に比定されています。

 

その後当社は衰微したようで、延暦年間(782~806)坂上田村麻呂が東征の途中にこのあたりを通った際、荒れた古い祠に気づき、里人に尋ねて大国魂の神と知り、戦勝を祈願。戦勝後に神威にこたえて立派な社殿を造営したという伝えが社記にあります。

大同2年(807)に「陸奥国磐城郡大領磐城臣雄公」の一族であろう人々によって社殿が再建されたという伝えもあるようですが、上記の造営と同一なのかもしれません。

 

鎌倉時代には、地頭・岩城氏の一族、國魂氏(國魂村地頭)が祭祀権を掌握。

南北朝時代には、神主・山名氏が平窪・矢野目・國魂三村を領有し「大國魂大明神祭礼以下神役勤仕」した、とされます。

 

大永2年(1522)に領主の岩城由降によって大造営が行われます。

延宝7年(1679)には内藤義慨によって再建、その後も藩主による修復が重ねられたようです。

 

幕末、元治2年(1865)に正一位に昇叙。

明治12年(1879)郷社、大正12年(1923)県社に列格。

御朱印

御朱印はあります。

社務所で拝受可。

新嘗祭の後の直会の最中にお願いしてしまい、申し訳ないことをしました。

近年オリジナル御朱印帳も出来たようです。

 

アクセス

いわき駅前から国道399号を東へ。

六十枚入口交差点(位置)の先で左の分岐に入って国道6号(常磐バイパス)を南下、最初の分岐で降ります。

バイパスを下りたところ(位置)で右折して進むと、突き当りに水守神社の鳥居が現れます(位置)。そこを左折。

その先、右手に森が見えてきます。そこが当社の境内。駐車場は道路挟んで左手にあります(位置)。

神社概要

社名大國魂神社(おおくにたまじんじゃ)
通称

菅波様

菅波の明神様

大黒様

旧称
住所福島県いわき市平菅波字宮前54
祭神

大己貴命

事代主命

少彦名命

須世理比売命

社格等

式内社 陸奥国磐城郡 大國魂神社

旧県社

札所等
御朱印あり
御朱印帳あり
駐車場あり
公式Webサイトhttps://www.ookunisama.jp/
備考

参考文献

  • 「大国魂神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
  • 「大國魂神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
  • 式内社研究会編『式内社調査報告 第十四巻 東山道3』皇學館大学出版部, 1987
  • 谷川健一編『日本の神々 神社と聖地 第十二巻 東北・北海道』白水社, 1984
  • 明治神社誌料編纂所編『府県郷社明治神社誌料 中巻』明治神社誌料編纂所, 1912(国会図書館デジタルコレクション 447-448コマ