小宮神社。
伊賀市服部町の国道25号、いわゆる非名阪沿いに鎮座。
式内社 小宮神社に比定されるとともに、式内社 穴石神社の論社ともされ、また伊賀国二宮ともされる神社。
境内
国道沿いの鳥居
社号標
狛犬
手水舎
社殿
拝殿
拝殿すぐ向かいに社務所?があるので正面からは納めきれません。
扁額
真中に小宮神社、左に狭伯社・津島社・春日社、右に蛭子社。
本殿覆屋
本殿(下部)
境内社
本殿左の狭伯社・津島社・春日社
本殿右の蛭子社
参道脇の名称不明社
『平成祭データ』には境内社として小宮神社の記載がありますが、こちらを指すか。だとしたら、小宮神社の境内社が小宮神社ってマトリョーシカみたいな…
宝物殿
橿原神宮遥拝所
皇大神宮遥拝所
由緒
創建は不詳。
『惣国風土記』は天武天皇3年3月の奉斎としています。しかし『惣国風土記』は偽書とみられるため、信憑性に欠けます。
またその後の由緒も不詳。
延喜式神名帳の「伊賀国阿拝郡 小宮神社」は当社に比定されています。
ただし、度会延経の『神名帳考証』では、同じやはり延喜式神名帳にみえる「伊賀国阿拝郡 穴石神社」にあてる説がとなえられています。
また当社は伊賀国二宮とされます。
『日本歴史地名大系』によれば「中世以来、当社は諏訪信仰の宮として一宮敢国神社に対し二宮と称され」とありますが、Wikipediaの伊賀国の項では「中世に小宮神社が二宮を称した記録はなく、近世以後の比定」とあり、当社が二宮を称し始めた時期は不明。江戸時代前期の『伊水温故』に「號二宮」とあるので、その頃には二宮の称はあったのでしょう。
「正一位諏訪大明神造」の表記がある棟札あり。慶安2年(1649)のもの。また、藤原末期から鎌倉期の神鏡が蔵されているそうです。
明治4年村社列格。
社名の由来について、祭神呉服比売命に因み、「麻績(おみ)」から来たものとする説、敢国神社を大宮というのに対し、当社を小宮と称したとする説があります。いずれも根拠は希薄のようです。
当社の祭神については諸書まちまちです。とりあえず列記。
- 園韓神 『惣国風土記』
- 服部氏の祖神酒君 『伊水温故』等
- 諏訪大明神 『三国地誌』
- 天御桙命 『特選神名牒』
他に『延長風土記』は服部氏の祖先が小宮大明神と狭伯大明神を祭ったとします。
『三国地誌』は、俗伝として諏訪大明神が小宮神、牛頭天王が狭伯神だという話を載せます。
なお当社が諏訪信仰に転じたのは、中世、敢国神社に諏訪信仰が入った頃のようです。
『特選神名牒』の挙げる天御桙命は、『新撰姓氏録』の「服部連。天御中主十世孫天御桙命也」から。
平城京出土木簡の一つに「伊賀国安拝郡服織郷俵」とあり、養蚕・機織の技術を持つ集団が当地に居住していたと思われます。
服部氏はこのあたりが発祥で、元は土豪で当社の神官も務めていたと言われます。
服部氏の系譜は諸説あり、その中には秦氏説もあります。酒君を祭神とする説はこれに基づくのではないかと思います。
現在の祭神は呉服比売命。
御朱印
御朱印はあります。
「伊賀忍者回廊」という御朱印めぐり企画専用ので、セルフ式です。
企画が恒久的なものかどうかは不明。
アクセス
伊賀上野城のある上野公園の北東1.5kmほどの場所です。
名阪国道の上野ICを降りて北へ、西大手交差点(位置)を東へ、農人町交差点(位置)を北へ、と走れば行けます。
駐車場はありません。前の道は一応国道、裏手の道は狭い…と路肩に停めるのも難しいです。
神社概要
社名 | 小宮神社(おみやじんじゃ) | |
---|---|---|
通称 | – | |
旧称 | 二の宮 | |
住所 | 三重県伊賀市服部町1158 | |
祭神 | 呉服比売命 | 現祭神 |
園韓神 | 『惣国風土記』 | |
服部氏の祖神酒君 | 『伊水温故』他 | |
諏訪大明神 | 『三国地誌』 | |
天御桙命 | 『特選神名牒』 | |
配祀 | 健御名方命 大山祇命 健速須佐之男命 | |
社格等 | 式内社 伊賀国阿拝郡 小宮神社 式内社 伊賀国阿拝郡 穴石神社 伊賀国二宮 旧村社 | |
札所等 | 伊賀忍者回廊第六番 | |
御朱印 | あり(伊賀忍者回廊) | |
御朱印帳 | – | |
駐車場 | なし | |
公式Webサイト | – | |
備考 | – |
参考文献
- 「小宮神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
- 「小宮神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 式内社研究会編『式内社調査報告 第六巻 東海道1』皇學館大学出版部, 1990
- 谷川健一編『日本の神々 神社と聖地 第六巻 伊勢・志摩・伊賀・紀伊』白水社, 1986
- 三重県神職会編『三重県神社誌 第2』三重県神職会,1922(国会図書館デジタルコレクション 222-229コマ)
コメント
同社の御朱印ですが、本務である敢国神社の神職に尋ねたところ「小宮神社は無人社であり御朱印は存在しません。確かに本務社は当社であるけれど、無い御朱印のために揮毫することはありません。」
と言われたのが3年前。
ところが、朗報と言うか「伊賀忍者回廊 伊賀忍者ゆかりの神社仏閣 ご朱印めぐり」http://www.igaueno.net/?p=5069 なるものが10月1日より始まり、この中に小宮神社も含まれており拝受の可能性が出てきました。押印はセルフのようですが背に腹は代えられないとあっては、このサービスに期待したいです。
>赤城おろしさん
こんにちは。
情報ありがとうございます。
御朱印めぐりの詳細確認しましたが、花垣神社や鸕宮神社も対象のようですね。
次回伊賀に行くときに、確認してみたいと思います。