阿波神社(伊賀市下阿波)

阿波神社。

伊賀市下阿波に鎮座。

式内社 阿波神社に比定される神社。

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境内

社頭

 

社号標

 

鳥居

 

手水舎

 

石段

 

狛犬

社殿

拝殿

 

本殿

よく見えません…

境内社等

皇居遥拝所、神宮遥拝所

 

山神

 

『式内社調査報告』に「背後の山頂に天狗松と称する老松があり四方に枝を張った形状は遠くから望見できる」とあるのですが、よくわからず…

由緒

阿波神社

主祭神 稚日女尊 わかひるめのみこと

主祭神稚日女尊は天照大御神の子あるいは妹といふ。

日本書紀には、高天の原で天照のお側で織物を織られるお姿が著されています。

御祭神

猿田毘古命 火産靈命 火迦具土命 少彦名命 建速須佐之男命 菅原道真 天之忍穂耳命 天穂日命 天津彦根命 活津比子根命 熊野久須毘命 多紀理比賣命 多紀津比賣命 狭依毘賣命 大物主命 速玉之男命 大山祇命 山王 合計十九柱

鎮座地 三重県伊賀市下阿波八七九番地(旧阿山郡大山田村下阿波)

御由緒・沿革

阿波神社は延長五年(九二七年)にまとめられた延喜式神名帳に載っている古社です。(延喜式内社)

『伊賀国式社考』という書物には、「阿波の神社下阿波にあり 今杉尾白髭大明神と称す是也 延長風土記に曰く 阿弁郡阿波山 神あり 阿波大明神と号す 祀る所神功皇后なり 三代実録に曰く 貞観三年阿波の神に従五位下を授く その後郷士阿波越後なる者 杉尾白髭神を合祀して 阿波神社杉尾白髭大明神と 通称し奉る」とあります。これをもって、創建を神功皇后三年(二〇三年)としています。なお、文中貞観三年は西暦八六一年であります。また、神功皇后は第十四代天皇の皇后で、三韓征伐などの伝説が残っています。「白髭大明神」は全国にある延命長寿を祈る神社です。

明治四年に村社に改められ、同十五年に郷社に列せられます。

明治四十年、末社一座秋葉神社、無格社十八社(菅原神社、金毘羅神社、愛宕神社、津島神社など)を合祀されました。

宝物

石造狛犬一対(鎌倉時代)鰐口一個【刻銘 阿波谷杉尾大明神真前文禄五年】(安土桃山時代)いずれも伊賀市有形文化財

(参拝時には境内に由緒書なかったのですが、近年設置されたようでGoogle mapに写真があがっていたため、そちらから転記)

 

創建時期は不詳。

日本書紀 神功皇后摂政前紀仲哀天皇9年(200)三月壬申朔条に、神功皇后が小山田邑に造った斎宮で自ら神主となり、仲哀天皇にお告げをした神を神託によって知ろうとした時、示された神名の一つに「尾田の吾田節の淡郡にいる神(尾田吾田節之淡郡所居神)」があったことが記されており(「幡荻穗出吾也、於尾田吾田節之淡郡所居神之有也」)、『伊賀名所記』や『三国地誌』は小山田邑を伊賀の山田、淡郡を阿波、つまり当地としています。

ただ尾田吾田節之淡郡所居神については、伊射波神社の稚日女尊や赤田神社の建布都神とする説もあります。

 

 

『三重県神社誌』では伊賀の阿波を阿波君の本貫とし、阿波君の氏人が奉祀したのが阿波神社で、祭神を阿波君の祖息長田別命としています。

 

三代実録 貞観3年(861)4月10日甲寅条に「授伊賀国正六位上…阿波神…従五位下」同15年(873)9月27日己丑条に「授伊賀国…従五位下…阿波神…従五位上」とみえる阿波神、並びに延喜式神名帳にみえる「伊賀国山田郡 阿波神社」は当社に比定されています。

 

その後杉尾白鬚明神を合祀したようで、『兼右卿記』永禄11年3月17日の条に「山田郡阿波郷白鬚大明神神位事申之間、調遣了、為礼二貫四百文 宗源宣旨 正一位白鬚大明神 伊賀国山田郡阿波」とみえ、当社蔵鉄製鰐口の銘には「阿波谷 杉尾大明神真前 文禄五年丙申八月廿日」とあります。

 

織田軍の伊賀攻めにより焼失したらしく、文書記録はほとんど残っていないようです。

 

明治4年村社列格、同15年郷社に昇格。

『式内社調査報告』によると明治40年に境内社稲葉神社、大字下阿波の菅原神社、津島神社、愛宕神社、八柱神社、金刀比羅神社、少彦神社、熊野神社、山神社を合祀。

ただ『明治神社誌料』では境内社秋葉神社及び無格社11社を合祀としています。

 

主祭神は稚日女神、猿田毘古命、火産霊命。

元の主祭神は稚日女神と猿田毘古命で、火産霊命は明治に合祀された境内社秋葉神社(稲葉神社?)の祭神ではないかと思われます。

稚日女神は尾田吾田節之淡郡所居神がそうだとする説があるために定められたのでしょうか。

 

祭神については多数の説があり、まず『神名帳考証』は天日方奇日方命と速甕之多気佐波夜遅奴美神を挙げています。

『三重県神社誌』は、天日方奇日方命については日本書紀神宮皇后紀の淡郡にます神と旧事本紀の地神本紀に天日方奇日方命に注して「亦名阿田郡久志尼命」とあるのとを付会したとします。また速甕之多気佐波夜遅奴美神についても強弁だとします。

その上で、阿波君との関係からその祖神息長田別命を推定しています。

『伊水温故』は猿田彦命と神功皇后。

『三国地誌』は神功皇后。

『大日本史』神祇志は天太玉命。

『特選神名牒』は事代主神。

御朱印

御朱印はあるようです。

普段は無人ですが、置いてある封筒に宛名を書き初穂料を納めておくと、後日郵送でいただけるとのこと。

私の参拝時(2017年)には特にそういう案内は出ていなかったので、最近出来たのかと思います。

アクセス

伊賀上野の中心部から国道163号を東へ、あるいは津から西へ走り、下阿波の交差点(位置)を南に折れて服部川を渡ります。

300mほど先(位置)で左手に折れ、しばらくまっすぐ行くと神社下。周辺に目印的なものがなくてちょっとわかりづらいかも。

社頭右手にある集会所(兼社務所?)の裏手に駐車場あり。

神社概要

社名阿波神社(あわじんじゃ)
通称
旧称

椙生社

白鬚惣社

杉尾大明神

住所三重県伊賀市下阿波879
祭神

稚日女神

猿田毘古命

火産霊命

現祭神

天日方奇日方命

『神名帳考証』

速甕之多気佐波夜遅奴美神

『神名帳考証』

息長田別命

『三重県神社誌』

猿田彦命

神功皇后

『伊水温故』

天太玉命

『大日本史』

事代主神

『特選神名牒』
合祀

菅原道真

火迦具土命

健速須佐之男命

天忍穂耳命

天穂日命

天津日子根命

活津日子根命

熊野久須毘命

多紀理比売命

狭依毘売命

多紀津比売命

大物主命

少彦名命

速玉之男命

大山祇命

山王

社格等

式内社 伊賀国山田郡 阿波神社

日本書紀 神功皇后摂政前紀仲哀天皇九年三月壬申朔 尾田吾田節之淡郡所居神

日本三代実録 貞観三年四月十日甲寅 阿波神 従五位下

日本三代実録 貞観十五年九月廿七日己丑 阿波神 従五位上

旧郷社

札所等
御朱印あり
御朱印帳
駐車場あり
公式Webサイト
備考

参考文献

  • 「阿波神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
  • 「阿波神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
  • 式内社研究会編『式内社調査報告 第六巻 東海道1』皇學館大学出版部, 1990
  • 三重県神職会編『三重県神社誌 第2』三重県神職会,1922(国会図書館デジタルコレクション 114-123コマ
  • 明治神社誌料編纂所編『府県郷社明治神社誌料 上巻』明治神社誌料編纂所, 1912(国会図書館デジタルコレクション 755-756コマ