岡上神社。
JR板野駅の西、県道12号から少し北に入った住宅地の丘の上に鎮座。
式内社 岡上神社に比定される神社。
境内
社頭
社号標
狛犬
手水舎
社務所?かなり古びている建物。
社務所脇に歌碑
注連柱
鳥居
扁額
石段
蔵
社殿
拝殿
本殿
古墳跡?
社殿後方の階段を上がると空地、その後ろには住宅地
『式内社調査報告』には「かんぞう山の一部にあたるところ。かんぞう山は海抜50m程の小山であるが山上には二基の大古墳があり、北麓にかんぞう寺址(平安時代の瓦出土)があり、南麓がこの神社で、古代文化の中心地と思はれる」とあるのですが、宅地開発等で古墳は消滅してしまったそうです…
この韓崇山(かんぞうやま)は二基の他にも複数の古墳があるらしく、韓崇山古墳群とされているそうです。
他にも神社境内にも古墳があるみたいです。
岡の宮の大クス
この神社で一番目を引く「岡の宮の大クス」
県指定天然記念物で樹齢約700年。
大クスの北側に建っている石碑
岡の宮の大クス
樹齢約七百年と推定されるクスの木です。樹木の高さは約三五メートル、枝の広がりは東西約二七メートル、南北約三七メートルとみられます。
根回りは約二五メートルと太く、一つの根から、幹が三つに分かれ、うち一つが二つに分かれて、四つの幹がせり合うように並立し、荘厳な雰囲気をかもしだしています。
大クスの北側に、江戸時代の明和五年(一七六八)に建てられた石碑があります。
安宅御目附 御立置奉願処御聞届之上印者也
船を造るから、大クスを差し出せとの命令がありましたが、御神鏡木だからと願い出たところ、許されたという記念碑です。
氏子たちが、命がけで護ってきたこの大クスは、今に受け継がれ、保護されています。
説明には御神木ではなく御神鏡木と書いてあるんですが、何か由来がある呼び方なんでしょうか。
由緒
創建時期は不詳。
付近の大字郡頭の辺りは南海道の郡頭駅があったとされる場所で、北は大坂峠を越して讃岐国大内郡刈田駅に、南は阿波国国府に通じた交通の要路であり、板野郡の郡治もこの付近にあったと考えられるそうです。
また、国造氏族の粟凡直の本拠地であったとも。
延喜式神名帳にみえる「阿波国板野郡 岡上神社」は当社に比定されています。
社伝によれば、源義経が大坂越を経て讃岐へ向かう夜行軍の出陣に際し、当社に詣でて武運長久を祈願したとされています。
かつては岡の麓に鎮座しており、寛政元年(1789)に岡の上に遷座したそうです(『阿波国式社略考』に「大寺村ノ支邑岡ノ宮ニアリ、古昔ヨリ山ノ麓ナリシニ、寛政ノ初年、丘ノ上、山ノ鼻ニ移シ建テ、實ニ社號ノ如クナレリ…」)。
なぜ麓にあったのに社名が岡上神社なのかについては、「うかのかみ」が訛って「おかのかみ」になったという説があるそう。
現在は「おかのうえ」と読まれます。所在地は一般に岡の宮と呼ばれ、当社も「岡の宮」が通称。
明治4年村社に、大正7年郷社に列格。
大正4年に近隣の王子宮、若宮神社、山神社、楠木神社を合祀。
祭神は豊受姫命。
『阿波志』が「延喜式所載土佐豊岡天神、拾遺集所載天座豊岡姫恐くは並に同じ。蓋し豊宇気姫也」としており、『阿波国式社略考』も同様。
『阿府志』は稚産霊命とします。
御朱印
御朱印はあります。
ただ兼務社のため通常は無人。連絡先も不明だったため、徳島県神社庁に連絡し、宮司さんの御連絡先を確認しました(旧徳島県神社誌に載っている情報は既に古く、宮司さんは交代されています。改訂版の方は正しい)。
お仕事(神職以外)の御都合もあるため、事前連絡・調整が必要です。
アクセス
板野駅の西600mほど、県道12号の交差点(位置)に「岡の宮の大クス」の案内が出ています(小さいですが)。ここを北に入り、突き当りを左に行くと神社です。
駐車場はありません。また住宅地の中にあり、前の道路もあまり広くはないので車を停めるのに難儀します。
一応、1kmほど西にある歴史文化公園に無料駐車場があります。
歴史文化公園はここ。
神社概要
社名 | 岡上神社(おかのうえじんじゃ) | |
---|---|---|
通称 | 岡の宮 | |
旧称 | – | |
住所 | 徳島県板野郡板野町大寺字岡山路7 | |
祭神 | 豊受姫命 | 現祭神 |
稚産霊命 | 『阿府志』 | |
配祀(合祀) | 日本武命 草野姫命 市杵島姫命 奥津比売命 猿田彦命 楠木正成公 | |
社格等 | 式内社 阿波国板野郡 岡上神社 旧郷社 | |
札所等 | – | |
御朱印 | あり(要事前連絡) | |
御朱印帳 | – | |
駐車場 | なし(約1km西にある歴史文化公園に無料駐車場あり) | |
公式Webサイト | – | |
備考 | 境内に徳島県指定天然記念物「岡の宮の大クス」 |
参考文献
- 「岡上神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
- 「岡上神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 式内社研究会編『式内社調査報告 第二十三巻 南海道』皇學館大学出版部, 1987
- 徳島県神社庁教化委員会編『改訂 徳島県神社誌』徳島県神社庁, 2019
- 永井精古『阿波国式社略考』(佐伯有義編『神祇全書 第一輯』思文閣, 復刻版, 1971.所収)