位山。
高山市と下呂市の境に聳える、水無神社の神体山であり奥宮。
登山道
※巨石群登山道を登りましたので、そちらの写真になります。
登山口の鳥居
飛騨一宮水無神社奥宮碑
位山御神水
登山道地図
右下が巨石群登山道登山口です。
道はこんな感じ
禊岩
御門岩
日抱岩
朧岩
光岩
豊雲岩
鞍ノ岩
餅ノ岩
八重雲岩
蔵立岩
天の岩戸
山頂手前に「天の岩戸」と呼ばれる巨石(群)があります。
飛騨一之宮観光協会やモンデウス飛騨位山のサイトではこちらを水無神社の奥宮として紹介しており、個人サイトでもそう書いているところがほとんどです。
神社公式では特にこちらが奥宮とは明言されていませんが、奥宮祭はこちらで斎行されているらしく、また下掲の神社Instagramコメントにも「神体山の中の目安(依代)」とあることから、奥宮の扱いなのだと思われます。
天の岩戸
祠
なおこちらの祠、2020年に一度撤去されたようです。
水無神社のInstagramによると「一つの目安として磐境の前に設置されていた祠ですが、元来の形に復する、ということで、本祭を期に徹去させて頂きました。天の岩戸そのものが、神体山(位山)の中の目安(依代)であるのに、目安の前に目安を置くのは如何なものか、ということでご理解頂ければ幸甚に存じます」とのこと(2020年8月29日の投稿内、返信コメント)。
…が、やはり目安の祠がほしいという要望があり、2021年に新たな祠が設置されたそうです(2021年8月30日の投稿内、返信コメント)。
天の岩戸別方向から
鏡岩
天の岩戸の裏にあります。
少し先に御魂岩
山頂周辺
御岳山眺望スポット
乗鞍岳眺望スポット
位山御神水
御神水はこの中から引かれているぽい?
山頂
冒頭の案内図をよく見ると、山頂あたりに「おおあわのいわくら」なる表示があります。実際すぐそばにあるようです(この写真を撮っている位置から左斜め後方らしい?)。
漢字で書くと「大淡磐座」のようです。調べると古史古伝的な話(というより新興宗教?)が多く出てきます。頭が痛くなる怪文書みたいなサイトばかりなのでやめておいた方がいいです…
三角点
山頂エリアの案内図
登山道なのか違うのかわからない刈安林道
由緒
水無神社の神体山、奥宮とされる山。宮川と飛騨川の分水嶺。
この山のイチイから作った笏が天皇陛下の即位と伊勢神宮式年遷宮に際して献上されています。
源通親は「位山あとをたづねてのぼれども子を思ふ道になほ迷ひぬる」という歌を詠んでいます(新古今和歌集収録)。
山中には巨石群があり、これを初期の古墳とかドルメンといった見方をする説もあるようです。実際に磐座として祭祀対象になっていた時期があるのかはわかりません。
姉小路基綱による『飛騨八所和歌集』の裏書に「此山を位山と云こと、神武天皇へ、王位たもちたまふべきことを、此山の主とて身一にて面二、各足手あるなるが、名は両面四手といふ、雲の波を分、天船に乗つて来れり。此山にして其事を授給しより、位山といへり。其船を乗留し所、船山とて、位山につづきてあり。此事宮殿の縁起にあり」という記述があります(両面四手=両面宿儺か)。
天孫降臨伝承もあるそうですが詳しい事は不明。
手持ちの資料にこの山についての詳しい記述がなく、Web上ではスピリチュアル・オカルト的な内容の情報が多い(ピラミッド説やら超古代文明説やら)までため、本当のところがよくわからない山です。
『日本歴史地名大系』に気になる記述があります。
『日本歴史地名大系』
位山峠の頂上には、享保一七年(一七三二)七代飛騨代官長谷川忠崇が当地を名所に指定した石碑が建つ。現在位山とよばれる山は本来の位山ではなく、村人に「だな山」とよばれる山が明治時代陸地測量部によって位山とされたという。石碑のある付近が本来の位山と伝える(山之口村誌草稿)。
位山峠は位山の南方にある峠(位置)。ここを通る道は東山道の飛騨支路の一部で位山街道?官道?というのだとか。飛騨の匠が通った道だそうです。
上記のGoogle mapの場所、道の南側に案内板やら東屋やらあるのですが、その向かい、北側に石段があるのが見えます。ここを上ると『日本歴史地名大系』のいう石碑があるようです。
この位置からは位山は全く見えず、そんなところに位山の碑を立てるのは不自然といえば不自然です。
ただ位山峠は水無神社からは見えませんし、神体山になると思えません。本来の位山がどちらであれ、水無神社の神体山はずっと現在の位山だったのだと思います。
ちなみにだな山ですが、位山登山道の途中の1233m地点に三角点「太奈山」があります(位置)。だなやまと読む?仮にだな山が位山にされたのだとしたら、元の名を一つの峰に移したようなものなのでしょうか。『日本歴史地名大系』の記述の真偽が不明なので、なんとも言えませんが…
水無神社の由緒は該当記事をご参照ください。
御朱印
ありません。
2020年?に御朱印作られたようです。
水無神社で拝受可(ちゃんと登拝しましょう)。書置きのみ。
アクセス
普通に登山する場合は、麓の「モンデウス飛騨位山スノーパーク」裏手あたりからスキー場のゲレンデを登って行くようです(位山登山道)。登り3時間、下り2時間半程度だそう。
お手軽に登りたい場合は、ダナ平林道(道の駅モンデウス飛騨位山から6kmほど、約30分)の終点まで車で行き、そこから登ることができます(巨石群登山道)。私はこちらで登りました。
林道は未舗装ですがそれなりに通行量あるためか路面状況は悪くなく、2WDの軽でも難なく走れました。ただし狭いです。終点に駐車場あり。
こちらは登り1時間、下り50分程度(健脚ならもうちょっと早い)。
飛騨一之宮観光協会のサイト内に登山マップがあります。
巨石群登山道の駐車場
登った日には満車に近い状況でした(GW中だったので)。休日など登山者が多い日は早い時間に行かないと停められない可能性もあります。
モンデウス飛騨位山スノーパーク近くにある位山白銀神社
神社概要
社名 | 位山(くらいやま)/水無神社神体山・奥宮 |
---|---|
通称 | – |
旧称 | – |
住所 | 岐阜県高山市一之宮町 |
祭神 | 不明 |
社格等 | 水無神社神体山 |
札所等 | – |
御朱印 | あり(書置き) |
御朱印帳 | – |
駐車場 | あり(モンデウス飛騨位山 or ダナ平林道終点) |
公式Webサイト | – |
備考 | – |
参考文献
- 「位山」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
- 「飛騨一宮水無神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 式内社研究会編『式内社調査報告 第十三巻 東山道2』皇學館大学出版部, 1986
- 谷川健一編『日本の神々 神社と聖地 第九巻 美濃・飛騨・信濃』白水社, 1987