熊野神社。
佐渡市千種の五差路そばに鎮座。
佐渡へ配流された順徳上皇による勧請の伝承が残る神社。
境内
社頭
五差路の一角から参道が伸びています。
社号標
狛犬
この被り物をしたような特徴的な首のあたりの造型は、佐渡の狛犬の特徴のようです。
手水舎
柄杓置きのデザインが好みでした
鳥居
社殿
拝殿
扉は平成25年に造られたと貼り紙がありました。ネット上にある過去の写真を見ると向拝がないので、向拝もこの時一緒に造られたのだと思われます。
屋根に水の字が見えますが神紋というわけではないのかしら
本殿
境内社等
境内社2社
右側は天神社という札が掛かっていたので、こちらが下掲の由緒板にある北野社でしょう。したがって左が稲荷社だと思われます。
石碑
達筆な文字で色々と書かれています。写真に撮って読もうと思っていたのですがいまいち読めず、でも…
横に要約が書かれた札が立っているので安心
「承久のみかど此国へ遷幸あらせられし頃…」
この碑文の最後に「翠園のあるじしるす」とある。「翠園のあるじ」とは、江戸幕府最後の佐渡奉行で、且つ、明治初年の相川県令も勤めた鈴木重嶺の歌人としての雅号である。
やさしく美しいこの筆致は本人の直筆である。
碑文の内容は「この地にお花という美しい娘がいて順徳上皇はたいそう心をひかれ度々この地を訪ずれた」という言い伝えを記したものである。
境内にあった石の滑り台
由緒
一 御祭神
主神 伊邪那美命(縁結び)(安産)
配神 速玉之男命(延命長寿)(約束の保証)
配神 事解之男命(延命長寿)(即決即断)
北野社 菅原道真(学業成就)
稲荷社 倉稲魂命(五穀豊穣)(商売繁盛)
二 祭日
二月二十日 祈年祭
四月十二日 例祭
十二月十日 新嘗祭
三 開基
天文三年(一五三四年)新田玄久による
創建は天文3年(1534)。
境内案内によれば「新田玄久による」とありますがどういった人物かは不明。
『佐渡神社誌』には開基知れずとありますが、「天文16年子年改之寺社帳に有」とあるので、1588年の時点では存在していた様子。
同書には「口耳の傳ふる所に據れば承久上皇當國に御遷幸の際此里の風光を愛でさせられて御園を設け花卉を植ゑさせ折々の御叡慮を慰めさせ給ひしが其花守の神として爰に熊野神社を御勸請あらせ給ひし由申し傳へたり」ともあり、順徳上皇による勧請の伝承があることがわかります。
当社は旧花屋敷村の鎮守でありました。
花屋敷の地名は後に本屋敷に転訛したようです(字の読み間違いに起因するとも)。
尾花崎という地名もあり(現在も字名で残る)、これらはこのあたりに住んでいた美女、お花に由来するのだそう。
順徳上皇はお花に心を寄せていたそうで、近隣には花塚という碑も立っているそうです。
明治6年村社列格。
御朱印
御朱印の有無は不明。
アクセス
佐渡護国神社と隣接していますので、佐渡護国神社の記事をご参照ください。
駐車場も同じ所を使うのがよいと思います。
神社概要
社名 | 熊野神社(くまのじんじゃ) |
---|---|
通称 | – |
旧称 | – |
住所 | 新潟県佐渡市千種丙157 |
祭神 | 伊弉冉尊 速玉男命 事解男命 |
社格等 | 旧村社 |
札所等 | – |
御朱印 | 不明 |
御朱印帳 | – |
駐車場 | あり(付近の無料駐車場を利用) |
公式Webサイト | – |
備考 | – |
参考文献
- 「熊野神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 新潟県神職会佐渡支部編『佐渡神社誌』新潟県神職会佐渡支部, 1926(国会図書館デジタルコレクション 38-39コマ)