岩上神社(淡路市柳澤乙)

岩上神社。

淡路市柳澤乙に鎮座。

巨岩「神籬石(ひもろぎいし)」が祀られている神社。

広告

境内

参道石段

 

手水舎

社殿

拝殿

 

扁額

 

幣殿

 

本殿

県指定重要文化財。『兵庫県神社誌』の由緒によると大和国龍田神社の本殿を譲り受けたもの(同書からは龍田大社か龍田神社かわからないのですが、『日本歴史地名大系』に「大和国龍田神宮(現奈良県三郷町)の旧本殿をもらい受け」とあるので、龍田大社から譲渡されたようです)。

 

本殿前の狛犬

 

県指定重要文化財 岩上神社本殿(付鰐口1口)

指定年月日 昭和57年3月26日

所有者・管理者 岩上神社

神社の創立は、社伝によると天文10年丑年(1541)柳沢城主柳沢隼人佐直孝が、大和国石上神宮の分霊を迎え祭祀したのに始まるといい、同神宮旧蔵と伝える「応安三年(1370)」銘の鰐口を伝来している。社殿は布石積の基壇上に建ち、本殿の正面は格子戸、引き違い建、三方に高欄付の縁があり、両側面に脇障子を立てる。浜床、浜縁をそなえた正規の造りである。斗栱(屋根のすぐ下)は「あま組」四手先、「おだるき」(長く突きでる)は、象鼻のように長く、その先が「ア」・「ン」になっている。組みものの形式、その作りに室町時代建築の特徴を伝えているといわれる。

 

兵庫県指定重要文化財 岩上神社本殿

所在地 淡路市柳澤乙六一四

所有管理者 岩上神社

一間社隅木入春日造 屋根檜皮葺彩色

神社の創立は、社伝に天文十辛丑年(一五四一)領主柳沢隼人佐藤原直孝が大和国石上神宮の分霊を勧請創始したと伝え、同神宮旧蔵の「應安三年(一三七〇)」在銘の鰐口を伝来している。

社殿は布石積の基壇上に建ち、三方に高欄付の縁を廻し、斗栱は「あま組」四手先で尾棰鼻をア・ンの象鼻とした特異の意匠をもつ。背面妻飾り大瓶束の形式手法に室町時代の技風を存しており十六世紀中葉における春日造り社殿の遺例として貴重な存在といえる。

境内社等

御神木?

 

境内社

左の札は八幡と読めるのですが、右は最初の天という字しか読めず。

『兵庫県神社誌』に「皇大神社(天照大御神 廣幡八幡神)」とあるので、おそらく天照大神か。

 

若年神・大年神

『兵庫県神社誌』によると「大年神社(大歳神 若宮神 金刀比良神)」。

 

石祠

おそらく愛宕神社(『兵庫県神社誌』の記述から消去法で)。

 

水神社

 

水神社 由来

罔象女神は天照皇大神の御姉君で水の総主宰神としてすべての生物の生命の根源を掌られる。

昭和六十年十月八日奈良県吉野郡東吉野村小鎮座の水神宗社たる旧官幣大社丹生川上神社の御分霊を拝戴し同年十月十八日この地に御鎮祭申し上げた。

 

御旅所

2本の参道が合流する辺りにあります。

 

社日塔

神籬石

社殿左手に神籬石という巨岩があります。

神社創建以前から信仰の対象となっていたようです。

 

神籬石

 

神籬石の周りの石もかなりの大きさです

 

この石は今にも滑り落ちそうで怖い…

 

社殿手前、左手の神岩参道を登ると神籬石のすぐ横まで行くことができます

 

上の方は道が少し危なっかしいです

 

後ろから見た神籬石

 

神籬石横の岩

 

神籬石後方、注連縄の掛かった小ぶりな岩

 

神籬石より上

 

神籬石横からの見晴らし

 

神籬石

高さ約二十メートル、周囲約十六メートル、鶏卵に似た形で滑らかな岩肌、神の降臨にふさわしい巨石です。

古くより神聖視され、人々の信仰を集めてきました。

神の降臨を待って祭を行なったもので「ひもろぎのお岩さま」ともよばれる自然石です。また、巨石を物語る遺物として、平安時代のものと思われる素焼皿が出土したことがあります。

このことから室町時代に創建された岩上神社より古くから神石として、祭祀されてきたと考えられます。

岩上寺

神社境内に隣接して淡路島西国三十三ヶ所霊場の第二十五番、法輪山岩神寺があります。

 

岩神寺

 

辨財天

 

岩上観音信仰への道

本尊観世音菩薩は聖徳太子の御作と伝えられ昔から人々の尊崇申し上げることただならぬものがございました

慈悲の化身であられる観音様はこの世の苦を抜き楽をお与え下さる霊験あらたかな仏様で遠方から大勢の参拝者があり岩上観音様の信仰は一世を風靡したものでございました

今人々の熱い思いが再び岩上山にむかっている時にあたり永遠不滅の教えをお説き下さる岩上観音様の信仰をお勧めいたします

由緒

創建は社伝によれば天文10年(1541)。

領主柳沢隼人佐藤原直孝が石上神宮の分霊を勧請したのが始まり。

同神宮旧蔵の応安三年銘の鰐口を伝来しているといいます。

 

明治6年村社列格。

 

平安時代のものと思われる素焼皿が出土していることから、神社の創建以前から神籬石の祭祀が行われていたとみられています。

当社(というよりは神籬石?)を伊弉諾神宮の奥宮・奥の院とする説もあるようです。

『式内社調査報告』の淡路伊佐奈伎神社項に「『古老聞書』に、神籬石を祭る岩上神社奥宮といはれる神社が旧隣村にある」とあり、そういう伝承があることは確かなようですが、『兵庫県神社誌』はじめ他の資料では全く触れられておらず、詳細不明。

一応、当社の鎮座する柳沢地区の公式ページ(2022/4時点でアクセスできず)でちらっと触れられてはいます。

 

御朱印

御朱印の有無は不明。

本務社は伊弉諾神宮です。

アクセス

伊弉諾神宮社頭の四叉路(位置)から南西方向に向かいます。

すぐ先の神饌田の辺りで道が分岐しますが、正面の道へ。分岐から1kmちょっと行くと、県道465号に出ますので(位置)左手に。

200m先の分岐(位置)を左手の道へ。1kmほど先(位置)で左折。

500m先(位置)、岩上神社の案内板が立っているので右折し山の中の道へ。

 

案内板

上掲のルートだと写真奥方向から来ることになります。

あとは道なりに登っていけば岩神寺の境内(神社石段下)に出ます。

山道は狭いですが途中離合ポイントあり。一応マイクロバスも通れる(らしい)し、倒木でもなければなんということはない道です。

駐車場はなし。岩上寺境内の隅に停めさせていただきました。

 

なお上掲のは車道参道で、鳥居のある表参道は別にあります。

上記の「1kmほど先(位置)で左折」のところを曲がらず直進し、250mほど先(位置)で左折して山の中へ入ると鳥居があります。途中御旅所前で上掲ルートと合流します。

ちょっと傾斜のきつい道です。不慣れな方は上掲の道の方がいいと思います。

神社概要

社名岩上神社(いわがみじんじゃ)
通称
旧称岩上大明神
住所兵庫県淡路市柳澤乙614
祭神布都御霊大神現祭神
藤原時平『淡路堅磐草』
石野姫命『淡路草』
社格等

式内社 淡路国津名郡 淡路伊佐奈伎神社 名神大 (奥宮?)

旧村社

札所等
御朱印不明
御朱印帳
駐車場あり(岩神寺境内に駐車)
公式Webサイト
備考伊弉諾神宮奥宮?

参考文献

  • 「柳沢村」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
  • 「岩上神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
  • 式内社研究会編『式内社調査報告 第二十三巻 南海道』皇學館大学出版部, 1987