伊伎佐神社(香美町香住区余部字宮ノ内)

伊伎佐神社。

香美町香住区余部、有名な余部橋梁近くに鎮座。

式内社 伊伎佐神社三座の論社。

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境内

社前の橋

 

鳥居

 

社号標

 

狛犬(片割れだけしかいない)

 

手水舎

 

狛犬

 

境内

社殿

社殿

境内社等

社殿左に稲荷社・三柱社

 

社殿右に恵比須社・祖霊社

 

石祠

『兵庫県神社誌』には境内社の宮嶋神社と下照神社が洪水で流出したとあるそうですが、それを再興した祠でしょうか。

 

御神木?

余部橋梁

神社近くに余部橋梁があります。

昔は鉄橋で「余部鉄橋」と通称されていましたが、2007~2010年にコンクリート橋に建て替えられました。

 

現在のコンクリート橋

 

以前の鉄橋も一部残されています。撮影した2017/5時点ではまだ建設中でしたが、2017/11末に「余部クリスタルタワー」というエレベーターが設置されました。

 

解体された鉄橋の一部が下にある道の駅駐車場横に残されています

 

ちょうど電車が通っていきました

エレベーター近くから山を登っていくと、餘部駅裏山の展望台があります。そこからは橋と日本海を見下ろすことができ、人気の撮影スポットのようです(GWで激混みだったので行きませんでした)。

 

道の駅施設内にある鉄橋の模型

由緒

敬神之碑

一、社名 式内 伊岐佐神社

一、御祭神 伊弉諾命 彦座王命 出雲色男命 天兒屋根命 応神天皇

一、由緒

文武天皇ノ御代、慶雲四年七月、諸國ニ悪疫病ガ流行ス、時ノ天皇ハ、諸國ニ神祇ヲ祀ルコトヲ命ジラレシ時、美含大領椋椅連小柄 彦座王命ヲ、ココ伊岐佐ノ丘ニ勧請シタコトニ創マル

今ヨリ約千二百八十年前ノコトデアル

更ニ天平七年ニハ 伊弉諾命ヲ、勧請シ主祭神トスル

嘉祥四年正月二十七日時ノ神祇官領ヨリ「正六位ノ上」ガ授ケラレ数少ナイ延喜式ノ小社ニ列シ、延喜二十二年春三月ニハ、奉幣ノ儀アリ官社トナル

又文永七年夏、異國(蒙古)来襲ト聞キ、武神男山八幡宮ノ御分霊中臣氏ノ祖、天兒屋根命ヲ勧請シ、異賊退治ノ祈祷式ヲ行フナド由緒アル神社デアル

一、例大祭日 七月十五日デ神幸式渡御アリ

創建時期は、伝承によれば慶雲3年(706)。秋7月に諸国疫疾流行のため、諸国に令して神祇を祀らしむ時に美含大領椋椅部連小柄が創祀したとされます。

『式内社調査報告』は伊伎佐の丘に彦坐王命を勧請した、という伝承を挙げています。

『但馬故事記』『但馬神社系譜伝』によると、伊伎佐山(伊伎佐御碕)に粟鹿大神(彦坐命)と五十狭沙別大神(吉備津彦命)を祀った、とします。

 

神亀5年(728)、美含大領従八位上矢田部連守柄が同族の勇山連市午麿を召し、部民を率いて余部に田畑を開発。この時、勇山連市牛麿はその祖・出雲色男命を勧請。

天平7年(735)には伊伎佐神の神託により伊弉諾尊を勧請。

 

延長5年(927)官社に列したといいます。

 

延喜式神名帳にみえる「但馬国美含郡 伊伎佐神社三座」の論社とされています。

鎮座地の移動があったかは不明ですが、『神祇志料』は伊佐々岬(伊笹岬)の麓、『但馬考』は御崎集落の三宝社に比定します。『式内社の研究』は「三座」を「三社」とみて、伊笹岬、御崎集落、浜(宮内)に一座ずつ鎮座したとしており、これに基づけば当社は浜(宮内)の一座となります。

 

 

文永7年(1270)夏5月、異賊(元寇)退治の祈祷を行うため、男山八幡宮の分霊と天児屋根命を勧請。社殿造営し祈祷会式を実施。

 

明治6年村社列格。

明治26年9月、洪水で境内地・鳥居が流出するも直ちに再興。ただ、洪水前には600坪ほどあった境内は、150坪に縮小してしまったようです。

 

現祭神は、伊弉諾尊、彦坐王命、出雲色男命、天児屋命、応神天皇。

境内由緒碑には彦坐王命以下四柱は小さく記載されていますが、配祀神の扱いなのでしょうか(『平成祭データ』や兵庫県神社庁のページには伊弉諾尊のみの表記。『兵庫県神社誌』は伊弉諾命を祭神とし、調書には他四神の名がある旨の表記)。

 

『但馬故事記』には祭神 彦坐命、五十狭沙別命、出雲色男命とあり、『式内社調査報告』は彦坐命と五十狭別命が本来の祭神ではないかとします。

五十狭沙別命(豊岡の気比神社祭神)=伊奢沙別命(氣比神宮祭神)を指すと思われます。

『但馬故事記』は五十狭沙別大神について、カッコ書きで吉備津彦・五十狭芹彦命と注記しています。

伊奢沙別命=吉備津彦命とする説は実際にある(『神名帳考証』でもイザサワケとイサセリヒコの音通に触れている)ようです。

御朱印

御朱印の有無は不明。

鳥居横の家が宮司さん宅ではないかと思うのですが、ご不在でした。

アクセス

豊岡から国道178号を西へ。

香住道路、余部道路を通って余部ICを下り、少し北へ行くと道の駅あまるべがあります。神社に駐車場はないので(一応境内に入れなくはないですが…)、道の駅に停めて歩くのがいいです。

海側にある第二駐車場からなら3分くらい。ただハイシーズンは満車も有り得るので注意。

神社概要

社名伊伎佐神社(いきさじんじゃ)
通称
旧称

伊楽大明神

伊伎佐大明神

住所兵庫県美方郡香美町香住区余部字宮ノ内2746-2
祭神

伊弉諾尊

現祭神

彦坐命

五十狭沙別命

出雲色男命

『但馬故事記』
配祀?

彦坐王命

出雲色男命

天児屋命

応神天皇

社格等

式内社 但馬国美含郡 伊伎佐神社三座

旧村社

札所等
御朱印不明
御朱印帳
駐車場なし
公式Webサイト
備考

参考文献

  • 「余部村」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
  • 「伊伎佐神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
  • 志賀剛著『式内社の研究 第四巻 山陰道』雄山閣, 1981
  • 式内社研究会編『式内社調査報告 第十九巻 山陰道2』皇學館大学出版部, 1984