二ツ岩大明神。
相川下戸村の山中に鎮座。
佐渡の狸(貉)の頭領とされ、日本三名狸の1匹にも数えられる、団三郎狸を祀る神社。
境内
神社より少し手前の道端に立っている鳥居
手前の標柱には参道近道とありますが、道はありません。地図上で見ると確かにここから直進すれば神社前に出るはずなので、昔は使われていたのでしょう(現在の道はこの地点から迂回している)。
社頭
鳥居両脇には「二岩神霊」「二岩神社」の石柱。ここからひたすら鳥居が並びます。
扁額
鳥居右手には休憩所のような小屋と駐車場
ちなみに駐車場よりさらに奥(東方向)に進むと、旧二ッ岩大明神なる神社(?)があるそうです。まだ建物が残っているそうですが、そちらが旧地なのかどうかは不明。
立ち並ぶ鳥居
割と新しめの鳥居もありました。祈願が成就すれば鳥居を奉納する、ということなので、今も奉納できるのかも。
参道脇の祠
参道半ば過ぎたあたりにお堂らしき建物
お堂のちょっと先までは登り道
登り切ると今度は下り坂
この写真を撮った場所あたりに、かつてお籠り堂があったそうです。2013年9月15日に火災で焼失。
本堂までは下り参道
本堂手前に石祠
木陰にも石祠
本堂
本堂
屋根がひどいことになってる…本堂奥スズメバチ注意の貼り紙もされていました。
堂内にあった扁額
堂内の止まった時計
止まってるはずなんですけど、ネットで他にupされているこの時計の画像を見ると時間が違うんですよね…たまに誰かが動かしているだけだと思いますが…
本堂内の写真は全然撮っていないのです。暗かったからか、撮るのを遠慮する雰囲気だったからか、覚えていません…それほど怖い雰囲気のところではなかったのですが(建物の安全性という意味では超怖いですけど…)。
分社?
相川小学校の裏手にある社(?)
民家にくっついているような感じ。扁額に「二ッ岩」とあります。
『日本伝説叢書 佐渡の巻』や『佐渡の貉の話』という本に、「出張所が相川の下戸浜町に出来て云々」とあったので、それがここのことかも知れません。
場所はここ(位置)
由緒
古い昔、山中に団三郎という老狸が住んでいたといいます。昔の有名な作家、滝沢馬琴の「燕石雑志」にも病気をして町の医者を呼びに行ったり、困った人にお金を貸せた(今から四百年前)話も出ている。
佐渡狸の頭領といわれて島内に百以上の部下(諸神)を持っていたという。
「関の寒戸」や「赤泊の禅達」などと昔は山伏の祈祷所だったらしく、安産、家内安全、消除諸災の御利益があると、参詣者が多い。
毎月十二日が縁日である。
春、四月十二日大祭を行う。
創建は不詳。
元々二ッ岩は山伏の修験の場であったといいます。
境内最奥部の本堂内に祀られている巨岩が二ッ岩。この岩の隙間の洞穴が団三郎狸の棲家だったとかなんとか。
なお、『日本伝説叢書 佐渡の巻』には「山の奥深くに向かって、幾十となく赤い鳥居を潜り詰めた處に、小い岩洞穴があり、其傍に一つの小い祠があるが、これこそ、二つ岩團三郎といふ貉を祀る祠であるとの事だ。さうして、此洞穴の中には、常に一匹の狢が居る。その名を團三郎と稱へて、實に神妙自在に人を騙したり、人の目を化したりするといふのである」とあり、この書が書かれた大正時代にはまだ本堂はなかったのかもしれません(あるいは、その頃に使われていたお堂が旧二ッ岩大明神なのか)。
祭神の団三郎狸(団三郎狢とも。佐渡では一般に狸を狢と呼ぶそうです)は、佐渡の狸の頭領と言われます。
『平成狸合戦ぽんぽこ』でも名前が出たり(作中では既に故人もとい故狸ですが)、『東方Project』でもモチーフとした(というかそのもの)キャラクターが出ていたりと、アニメ・ゲームにも取り上げられているので割と若い層にも知名度があるのではないかと思われます。
団三郎には、人間に化けて医者にかかったとか、困った人に金を貸した(返済しない人が出てきたのでやめた)とか、様々な言い伝えがあります。
また、佐渡に狐がいない理由として次のような話も。
旅先で会った狐に佐渡に渡りたいと言われた団三郎は、何かに化けないとまずい、自分が旅人に化けるから草履に化けたらよいと言って、佐渡行きの船に乗ります。船が沖に出ると、団三郎は草履を海に投げ込んでしまいます。それから、どんな狐も佐渡には来ようとしなくなったのだと。
団三郎の名は、元は人間の商人の名に由来するという説があります。
元々佐渡には狸はおらず、金山で使用する鞴に張るための狸の皮が大量に必要とされたため、よそから狸が買い入れられ、山野に放たれました。この時買い入れた商人が団三郎という名前だったので、そのまま狸の名前になったというものです。
御朱印
御朱印の有無は不明。
おそらくないでしょう。
アクセス
国道350号が大きくカーブする窪田交差点(位置)で国道を外れ、海沿いの県道45号かその一本北の道を西へ向かいます。
3kmほど先の交差点(位置)は直進し、県道31号を進みます。
3.7kmほど先の相川中学校入口交差点(位置)を右折。
600mほど先(位置)、右側の路肩に二ツ岩大明神の案内が出ていますので、ここを右折します。
あとは1kmほど道なりに走れば神社前へ。
途中水道施設らしき所を過ぎたあたりから道がかなり狭くなり(それまでも狭いですが)。草が左右から道路にはみだし、上からも枝がぶらさがっているので、車が傷つかないよう注意。
鳥居のそばに駐車スペースがあります。
神社概要
社名 | 二ッ岩大明神(ふたついわだいみょうじん) |
---|---|
通称 | – |
旧称 | – |
住所 | 新潟県佐渡市相川下戸村 |
祭神 | 団三郎狸(貉) |
社格等 | なし |
札所等 | – |
御朱印 | 不明(おそらくなし) |
御朱印帳 | – |
駐車場 | あり |
公式Webサイト | – |
備考 | 駐車場からさらに車道を進むと旧二ッ岩大明神(旧地)あり |
参考文献
藤沢衛彦編著『日本伝説叢書 佐渡の巻』日本伝説叢書刊行会, 1918(国会図書館デジタルコレクション 111-131コマ)