阿多由太神社(高山市国府町木曽垣内)

阿多由太神社。

JR高山本線飛騨国府駅の北1kmほどの場所に鎮座。

式内社 阿多由太神社の論社。

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境内

鳥居

 

社号標

 

荒城川に架かる橋

 

二の鳥居

 

手水舎

 

狛犬

社殿

拝殿

 

本殿覆屋

本殿は国指定重文なんですが、覆屋があり全く見えず。

 

案内板

阿多由太神社本殿(国指定重要文化財)

所在地 高山市国府町木曽垣内一〇二三

所有者 阿多由太神社

指定年月日 昭和三十六年六月七日

構造形式 三間社流見世棚造 杮板葺

 

この神社は『延喜式神名帳』(九二七年)に記載された飛驒式内八社の一つとされる。本殿の両側に置かれる木造随神(県指定重要文化財)は平安時代末期の様式を持ち、神社の由緒を物語る。国府町内の木曽垣内、三日町、半田の三地区の産土神として今も崇敬されている。

現在の本殿の建築年代は室町時代後期と推定される。

本建物は三間社で横幅二・六七メートル、正面三間のそれぞれに扉が付き、中央には主神の大歳御祖神、右側には熊野大神、左側には阿須波乃大神が祀られる。階段を持たず小形社殿が多い見世棚造としては規模も比較的大きい。今も多く残る建築当時の部材には、木目の緻密なサワラ等の良質材が多用され、当時の飛驒の森林資源の豊かさをうかがわせる。各部の意匠は室町時代の特徴をよく示す。

簡素ながら素朴で優雅な形態と、彩色を施さず良材の美しさ、強さを生かした精巧な造りに飛驒匠の技と感性が遺憾なく発揮された、飛驒の中世文化を示す貴重な建物である。

境内社等

稲荷神社

 

稲荷神社社殿

 

市指定建造物碑

 

石碑

市指定建造物阿多由太神社稲荷社殿

八棟造りで間口一・五メートル、奥行二メートルの建物である。手法、技法とも優れたもので、大工棟梁は、糠塚の名工、中垣内八右衛門といわれている。

 

境内社

 

境内社

 

社殿横の祭祀場のようなこちらは祖霊社だそうです

 

境内端にも祭祀場のような一角が

 

山の尾横穴古墳

神社右手にある社務所裏の道を北にしばらく進んだところにありますが、奥まったところで、道案内等も出ていません。たまたま参拝時に神社にいらした方が教えて下さったため見ることができました。

神社と関係あるのかは不詳。石碑の側面に説明書があるみたいですが、後から写真を見返して気づいたため、読んでいません。

由緒

創建時期は不詳。

 

延喜式神名帳の「飛騨国荒城郡 阿多由太神社」および、三代実録 貞観9年(867)10月5日庚午条に見える「飛騨国従五位下…阿多由太神…従五位上」の阿多由太神を当社にあてる説があります。

 

かつては権現宮と称していましたが、文化年間(1804~1818)に式内阿多由太神社に比定されたことから、阿多由太神社に改称。

ただこの式内社比定はかなりいい加減な経緯らしく、『斐太後風土記』によると「さて文化年中に、私に定めたる来由を問しに、諸郷の村民、皆能知たる事にて、吉田家臣玉田常陸永辰と云者、飛騨国八社調と唱来り、此社頭は老木しげりて、神さびたり。延喜式内八社の内なるべしとて、荒城神社と書て、札を懸たるを、河伯森の氏子等、聞つたへて憤来り、河伯明神の本明名なりとて、其札を外して帰りしとぞ、永辰為方なく、荒城郡四社を鬮にして、取て見しに、阿多由太に当りしとて、其時より阿多由太神社と改めしとぞ」。

吉田家の社人が飛騨式内八社を調べに来て、当社を式内荒城神社として札を懸けたら、河伯明神(現・荒城神社)の氏子が怒って札を外してしまった。仕方ないのでくじをしてみたら阿多由太に当たったので阿多由太神社とした、的な内容です。くじと言っても無論適当な意味ではなく神意を問うものでしょうし、実際には再度調査したのかもしれません。

 

 

またこの時、玉田永辰が神代石なる高さ120cmほどの石碑を建てたらしいのですが、現存するか不明(『斐太後風土記』には「近世所建右社より凡一町半程南の方」とあるので、一の鳥居あたりですがそれらしきものは見当たらず)。

いずれにせよ、現在に至るまで式内社たる有力な根拠は出ていないようです。

 

昭和3年(1928)郷社列格。

 

主祭神は大歳御祖神と大物主神。

配祀神に家津御子神、早玉之男神、熊野久須美命、阿須波之神、合祀神に大己貴命、崇徳天皇。

御朱印

御朱印はあるようです。画像がネットに上がっていたため。

神社裏手に住宅があり、おそらく宮司さん宅ではないかと思うのですが、ご不在でした。

御朱印ではないと思いますが、拝殿前に記念スタンプ的なハンコがあり、由緒書パンフレットに押印欄があります。

アクセス

飛騨国府駅から約1.5km、徒歩20分程度です。

車なら高山市中心部から、あるいは中部縦貫自動車道の高山IC(現終点)を富山・飛騨方面(左手)に降りて国道41/472号を北上。

飛騨国府駅の西にある広瀬交差点(位置)で右折して県道76号に入り、1km程行ったところ(位置)で左折し200mほど行くと一の鳥居。

鳥居の脇を通って川を渡ると二の鳥居。二の鳥居前で右折し200mほど行くと路肩に駐車場があります。

神社概要

社名阿多由太神社(あたゆたじんじゃ)
通称
旧称権現宮
住所岐阜県高山市国府町木曽垣内1023
祭神

大歳御祖神

大物主神

配祀

家津御子神

早玉之男神

熊野久須美命

阿須波之神

合祀

大己貴命

崇徳天皇

社格等

式内社 飛騨国荒城郡 阿多由太神社

式内社 飛騨国荒城郡 荒城神社

日本三代実録 貞観九年十月五日庚午 阿多由太神 従五位上

日本三代実録 貞観九年十月五日庚午 荒城神 従五位上

旧郷社

札所等
御朱印あり
御朱印帳
駐車場あり
公式Webサイト
備考

参考文献

  • 「阿多由太神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
  • 「阿多由太神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
  • 式内社研究会編『式内社調査報告 第十三巻 東山道2』皇學館大学出版部, 1986