大歳神社。
JR高山本線杉崎駅の南東150mほどの場所に鎮座。
日本三代実録 貞観9年(867)10月5日庚午条に見える大歳神に比定される神社。
また合祀の中宮神社は式内社 阿多由太神社の論社。
境内
鳥居
社号標
狛犬
手水舎
神社のすぐ裏手はJR高山本線
社殿
拝殿
扁額
本殿
境内社等
社殿左手前に祀られている岩
由緒などは不明。
鳥居脇の石
田中大秀の歌碑
大歳神の社にまゐてゝ秋の中ころ 大秀
大年の神のみたまとあからめる秋の水穂田みらくしよしも
くずし字で書いてあるので、合っているかわかりません(特に漢字は)。
由緒
大歳神社
所在地 飛騨市古川町杉崎字大歳四一番地
祭神
主神 大歳神
相殿 伊邪那岐命 伊邪那美命 菊理媛命 菅原道真公 大己貴命 崇徳天皇
当社の創建年代は定かではないが、文徳天皇実録には、仁寿元年正月(西暦八五一年)に初めて正六位上に叙せられたとあり、日本三代実録には、貞観九年(西暦八六七年)清和天皇に従五位下に叙するとある。
主祭神大歳神は、須佐之男命、大山津見神の娘神大市比売命の御子で、穀物に功徳を与える神様である。
飛騨には古くから水無神社をはじめとする式内八社と式外十神があって、大歳神社は式外の筆頭として飛騨総社及び飛騨の一之宮である飛騨一宮水無神社にも祀られている。
昭和十七年(西暦一九四二年)には村社から郷社に昇格、大戦後は宗教法人として神社本庁に所属し、昭和二十二年(西暦一九四七年)に銀幣社となり現在に至っている。
祭祀は、元旦祭(一月)春祭り(三月)例祭(四月二十八日)秋祭り(十一月)除夜祭(十二月)に行われている。
大歳神社
創建時期は不詳。
三代実録 貞観9年(867)10月5日庚午条に見える「飛騨国正六位上大歳神…従五位下」の大歳神は当社に比定されています。
元禄(1688~1704)頃までは諏訪社と称しており、その後享保13年(1728)の『飛州志』編纂の頃までには大歳宮に復称。
『飛州志』によると、当社の氏子は鶴を食べなかったとのこと。
明治5年(1872)村社列格。
明治40年(1907)村社中宮神社、小島天満宮、金刀比羅神社を合祀。
昭和17年(1942)郷社列格。
祭神は大歳神。
合祀の中宮神社
創建時期は不詳。
延喜式神名帳の「飛騨国荒城郡 阿多由太神社」および、三代実録 貞観9年(867)10月5日庚午条に見える「飛騨国従五位下…阿多由太神…従五位上」の阿多由太神を当社にあてる説があります。
これについては『荏野冊子』に「小島郷杉崎村田井江川西、西光寺南なる。田字たゆだと云とぞ、是もし阿の一言省たるにもあらむか、其所に、今は白山神社ある、其ならむか」とあり、つまり西光寺(杉崎駅の北西にあるお寺)の南に字『たゆだ』の地名があり、これが『阿多由太』の『阿』が抜けたものでは、という推測です。
宝暦(1751~1764)頃は白山権現と称しており、その後いつの頃か中宮とも呼ばれるように。『中宮』の由来は、北に北野天満宮、東に大歳神社があり、その中間にあることから。
明治に入ってから正式に中宮神社と改称したようです。
旧村社(列格時期不詳)。
明治40年(1907)大歳神社に合祀。
合祀前の鎮座地(と思われる場所)は、杉崎駅の西150mほどの川沿いの一角。『阿多由太神社址』と彫られた石碑が建っています。
『式内社調査報告』には火闌降神、白山比咩命が祭神として記載されていますが、『平成祭データ』および岐阜県神社庁の当社ページには火闌降神の名前は見えません。
また、境内由緒板には相殿神に伊邪那岐命、伊邪那美命、菊理媛命の名があり、加賀の白山比咩神社の祭神と一致するため、おそらくこの三柱を中宮神社=白山神社の祭神としているのではないかと思われます。
御朱印
御朱印の有無は不明。
アクセス
杉崎駅から徒歩2分ほど。
車なら高山市中心部から、あるいは中部縦貫自動車道の高山IC(現終点)を富山・飛騨方面(左手)に降りて国道41/472号を北上。
上野交差点(位置)を右折して古川大橋を渡り、突き当りを左折して県道476号を1km弱走ると右手に神社。
駐車場はありません。境内車両進入不可。
神社概要
社名 | 大歳神社(おおとしじんじゃ) | |
---|---|---|
通称 | – | |
旧称 | 諏訪社 白山権現(合祀の中宮神社) | |
住所 | 岐阜県飛騨市古川町杉崎41 | |
祭神 | 大歳神 | |
配祀 | 大己貴神 崇徳天皇 | |
合祀 | 菅原道真 | 小島天満宮祭神? |
白山比咩命(※1) 火闌降神(※2) | 中宮神社祭神 | |
社格等 | 日本三代実録 貞観九年十月五日庚午 大歳神 従五位下 旧郷社 | 大歳神社 |
式内社 飛騨国荒城郡 阿多由太神社 日本三代実録 貞観九年十月五日庚午 阿多由太神 従五位上 | 合祀の中宮神社 | |
札所等 | – | |
御朱印 | 不明 | |
御朱印帳 | – | |
駐車場 | なし | |
公式Webサイト | – | |
備考 | 杉崎駅の西150mほどに合祀の中宮神社(阿多由太神社論社)旧地 |
※1 『平成祭データ』・岐阜県神社庁当社ページ記載の祭神。由緒板には「伊邪那岐命 伊邪那美命 菊理媛命」とあり、この三柱が中宮神社=白山神社の祭神を指すか
※2 『式内社調査報告』に見えるが、由緒板・『平成祭データ』・岐阜県神社庁当社ページに記載なし
参考文献
- 「杉崎村」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
- 「大歳神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 式内社研究会編『式内社調査報告 第十三巻 東山道2』皇學館大学出版部, 1986