水祖神社。
西郷港の西500mほど、港町天神原に鎮座。
式内社 水祖神社の論社。
境内
鳥居
扁額
狛犬
手水舎
境内南側の鳥居
扁額
寄り添って置かれた古い狛犬
新しい狛犬
天神橋東から見た境内
社殿
拝殿
本殿
ちなみに社殿裏は丘になっており、その上には天神古墳と呼ばれる古墳があるそうです。途中までは登ってみたのですが、特に案内がなく、当時は古墳の存在も知らなかったため、写真はありません。
由緒
当神社は、水祖神社(ミオヤジンジャ)と称し祭神はミズハノメノカミとなっています。
水祖神社は一般的には川や水源地等水を司る神様としてお祀りされてあります。その昔、隠岐島周辺では海賊が出没し、住民は日々脅威をおぼえ、不安な生活を送っていました。又、国境の島として国防上の重要なところでしたので、朝廷から特に高官が派遣され、沿岸の治安、航海の安全に心配りをされ、力をそそぎました。その高官の中に非常に功績があり、帰京することなくここで生涯を終えられたお方があり、その人の名はわからなくなりましたが、海岸の丸いきれいな石を積上げ、古墳として遺徳を偲び神様としてお祀りしたものであります。他の水祖神社とは全く異なった神様であります。
このお宮に合祀されている天満宮は、大昔、中條地区八尾川上流沿いの小さな祠に菅原道真公を祀った天神社がありましたが、ある年たいへんな大水が出ました。山のように積まれていましたすくもやわら束が一度に押し流されこの水祖神社の境内にたくさん流れ着きました。不思議なことに、その中から祠に入った天神様が現れました。氏子たちはおそれおおいことと早速水祖神社に合祀しました。この神社の森の裾野は満潮時には浅瀬となり、潮が引くと陸地になるので、その有様を水の原(ミノハラ)といい、ここに現れた天神様ですので、「みのはらの天神」と呼びました。 尼子家忠臣 山中鹿之助幸盛が隠岐國府尾城主 佐々木為清に援軍を求めて来島したとき、主家尼子家再興を祈願しに、水祖神社へ参詣したと傳えられています。
祭礼については、西町・港町の熊野神社・大川神社・東山神社・松尾神社・御崎神社・國府尾神社・水祖神社の7社が参加し、当番神社を定め、地区住民が合同で祭礼を行っております。神社の例祭日の毎年七月二十五日・二十六日に川祭りといって八尾川の安全厄除け祈願の行事から御輿を出して、お旅祭りで町内の渡御式を行い、今日に至っております。
創建時期は不詳。
延喜式神名帳に「隠岐国周吉郡 水祖神社」として現れて以来、長い間記録に現れなくなります。
現存最古の棟札(天文22年(1554)4月)には「奉再建天満大自在天神」とあり、正保3年(1646)、寛文10年(1688)のものも同様。
寛文7年(1667)の『隠州視聴合記』、貞享5年(1688)の『隠州記』も天満宮の記載のみ。
これが幕末の『隠岐古記集』で「郷祖神社、盤余彦命、相殿に天満宮崇敬す。十六社之内なり」と、「郷祖」という名で現れてきます。
そして明治4年の『島後旧社取調帳』には「水祖神社、天満天神合祭」とあり、『島後神社取調帳』には「水祖神社、式内、此村ノ洲崎ニ在、鎮座年紀不知、祭神尊号不詳、神体二尺五六寸位ノ坐像一坐、相殿天満天神、神体一尺八寸位ノ坐像一座」とあります。
明治5年郷社列格。
中世期は、天満天神の信仰の影に隠れてしまっていた形ですが、信仰が消滅していたわけではないようで、『隠州神名帳』(『続群書類従』所収)には「従四位水祖明神」とその名が見えています。
上記の経緯から現在も通称は「天神さん」であるようです。
城北町の水祖神社の神が流れて当社となったとする伝承もあるそうですが、創建時期を考えると無理がある話ではあります。
祭神は水祖神=罔象女神とされていますが、境内由緒書によれば、中央から派遣され、帰京することなく当地で没した高官を祀ったのが当社の始まりとされており、本来の祭神はその高官ということになります。
海岸の丸いきれいな石を積上げ古墳としたともありますが、それが境内裏の天神古墳のことを指すのかは不明。
御朱印
御朱印の有無は不明。
アクセス
西郷港から国道485号を300mほど西へ行った、天神橋を渡ったところに神社はあります。
駐車場はありません。
神社概要
社名 | 水祖神社(みおやじんじゃ) |
---|---|
通称 | 天神さん |
旧称 | – |
住所 | 島根県隠岐郡隠岐の島町港町天神原68 |
祭神 | 水祖神(罔象女神) |
合祀 | 菅原道真公 |
社格等 | 式内社 隠岐国周吉郡 水祖神社 旧郷社 |
札所等 | – |
御朱印 | 不明 |
御朱印帳 | – |
駐車場 | なし |
公式Webサイト | – |
備考 | – |
参考文献
- 「矢尾村」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
- 「水祖神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
- 式内社研究会編『式内社調査報告 第二十一巻 山陰道4』皇學館大学出版部, 1983
- 谷川健一編『日本の神々 神社と聖地 第七巻 山陰』白水社, 1985
- 明治神社誌料編纂所編『府県郷社明治神社誌料 中巻』明治神社誌料編纂所, 1912(国会図書館デジタルコレクション 962コマ)