石倉比古神社(輪島市町野町西時国)

石倉比古神社。

輪島市町野町西時国、岩倉山の中腹に鎮座。

式内社 石倉比古神社に比定される神社。

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境内

登り口の寺号標

完全に見落としていましたが、ここからすぐ左手にこれより古い岩倉寺の寺号標と、石倉比古神社の社号標があります。

 

能登国三十三観音32番札所 白雉山岩倉寺

岩倉寺の本尊「千手観世音菩薩」は高さ一尺八寸(約60cm)の立像です。その昔いまの輪島市光浦の漁師、新左衛門が夜の海で明るく光を放つ木を見つけ拾い上げて家に持ち帰ったところ霊夢があり、木を切り開いてみるとなかから千手観世音菩薩像が出てきました。その後観音様が夢枕にたち、東の方角に連れて行くようお告げがあり、担いで出かけてみると曽々木あたりで急に重くなりどうにも動けなくなったことから、観音様がこの土地に導いたということで岩倉山に安置されたと伝えられています。

 

岩倉寺の由来

白雉二年(651)の開基で、本尊は千手観世音菩薩である。

その昔、千手観世音は、輪島市光浦町の漁師新左衛門によって日本海から発見されたとされている。漁に出た新左衛門が海中に黄金の光を放つ木の株を見つけ、あらたかな仏様の夢のお告げで岩倉山に安置したという。

岩倉山は山そのものが信仰の対象であり、特に沖を航行する船舶や漁師の信心が極めて厚く、年間通じて参詣者が絶えない。

岩倉山には、輪島市指定文化財の五重の石塔、密教法具、古文書、書籍、黒漆塗陰刻棟札等の貴重な多くの文化財がある。

また、観音霊場「北陸16番、能登32番」札所巡りでも知られている。

御詠歌…後の世の 祈りも今に 岩倉の 峰にはいつも 誘う松風

 

石段

ここまでは車で登ってこられます。

 

中之堂

 

手水鉢

 

参道石段

岩倉寺

石段を登り切ると岩倉寺があります。

規模として岩倉寺が主で、石倉比古神社はその鎮守社というような感じです。

 

山門

 

本堂

 

鐘楼

 

本堂裏手に回ると石倉比古神社の社殿が木々の中に見えます

 

裏手の道を進み…

 

石段を登ると神社が見えてきます

社殿

社殿

境内社等

参道の石祠

由緒

創建時期は不詳。

明治の神社明細帳には、仁寿2年(852)に正六位上に叙せられたとあります。

 

延喜式神名帳にみえる「能登国鳳至郡 石倉比古神社」は当社に比定されています。

 

『大日本史』に「今在時国村岩倉山下、旧町野郷十八村総社、後衰退僅小祠、為岩倉寺鎮守」とあり、江戸時代には衰退し岩倉寺鎮守社となっていたようです。

明治5年郷社列格。

 

かつては岩倉山の南の田の中に鎮座したとも、岩倉山の峯に奥之社として鎮座し文永年間(1264~69)に現在地に遷座したとも。

『能登志徴』には遥拝所があったことが示され、「此遥拝所は岩倉寺観音堂の北方にありて、今此所にて神饌等を献備し、神官神勤をなしける事となれり」とあります。

岩倉寺の本尊は観世音菩薩なので、観音堂は本堂だと思われます。現在の本堂は永正4年(1507)の再興とされるので、恐らくその時から移動してはいないと思われます。

とすると、観音堂の北方=現在の社地となってしまいます。

遥拝所は明治の神社明細帳に記されておらず、いつまで存在していたのか不明なので実態はわかりません。

 

祭神は天手力男神、天石門別命。

御神体は岩倉山そのものだとされています。

また明治に黒神神社の倉稲魂命、日枝神社の大山咋神を合祀しています。

天平5年(733)に加賀一宮白山神社を勧請し、同年栗蔵村に移した(現・町野町栗蔵の町野神社:位置)と『文政社号帳』にあることから、『能登名跡志』は祭神を「御神体白山権現」としています。

『特選神名牒』は石倉比古神、『能登国式内等旧社記』は伊波久良和気命とします。

『能登志』は「曽々木の北の方磯辺に窓岩とて大石あり。或は岩倉山比古の御神体櫛石窓の像石也といへり。石上に窓有て異なる神石也。窓岩と呼べり。神体などといへるは非也。又櫛石窓としも附会せしは、岩倉比古神をば天石門別神とし、古事記に、天石戸別神。亦名謂櫛石窓神とある故也。」と記しています。

窓岩は岩倉山の麓、曽々木地区の海岸にある海に突き出た岩(位置)。真ん中に穴が空いておりそれが窓のように見えることから名前がついたようです。時期によってはこの窓にちょうど夕日が納まるのを見ることができるのだとか。

御朱印

御朱印の有無は不明。

アクセス

輪島から国道249号を東に走り、曽々木交差点(位置)で右手に折れます。

すぐに岩倉寺の案内が現れるので、それに従い山を登っていけば中腹の駐車場に出ます。

駐車場までの山道は少し狭いですが、きれいに整備されています。

神社概要

社名石倉比古神社(いわくらひこじんじゃ)
通称
旧称
住所石川県輪島市町野町西時国16-8乙
祭神

天手力男神

天石門別命

現祭神

白山権現

『能登名跡志』

石倉比古神

『特選神名牒』

伊波久良和気命

『能登国式内等旧社記』
合祀

倉稲魂命

大山咋神

社格等

式内社 能登国鳳至郡 石倉比古神社

旧郷社

札所等
御朱印不明
御朱印帳
駐車場あり(岩倉寺の駐車場)
公式Webサイト
備考旧地は岩倉山の南の田の中とも、岩倉山の峯の奥之社とも

参考文献

  • 「石倉比古神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
  • 「石倉比古神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
  • 式内社研究会編『式内社調査報告 第十六巻 北陸道2』皇學館大学出版部, 1985
  • 明治神社誌料編纂所編『府県郷社明治神社誌料 中巻』明治神社誌料編纂所, 1912(国会図書館デジタルコレクション 793コマ