謁播神社(岡崎市東阿知和町字北山)

謁播神社。

岡崎市東阿知和町に鎮座。

式内社 謁播神社に比定される神社。

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境内

鳥居

 

社号標

 

神門

 

手水舎

 

庭園のような空間

 

御神木

社殿

拝殿

 

扁額

 

本殿

由緒

由緒碑

八等級 謁播神社(延喜式内社 旧郷社)

鎮座地 岡崎市東阿知和町字北山三十九番地

御祭神 知波夜命 春日大神

御由緒

この神社の由緒は大変古く神社創建の年代は詳らかではない。

第五十五代文徳天皇(八五〇~八五八年)の御代の文徳実録に、仁寿元年(八五一年)謁播神社に位階従五位下を授くとあり、延喜五年(九二七年)の延喜式神名帳にも、謁播神社の名が記されている延喜式内社である。

九世紀半ばに編纂された先代旧事本紀(旧事本紀)の第十巻国造本紀に、「物部氏の祖出雲色大臣命の五世の孫の知波夜命が、物部氏を率いて国造として当地を治めた。」とあり、命が逝去された後村人はその徳を慕い、命の鎮魂報恩のため祠を建て、氏神として尊崇したのが由来のようである。

神仏習合時代祭事は松林寺の社僧が行っていたが、明治維新以後神仏分離により現在に至っている。

明治五年(一八七二年)郷社に列せられ、明治四十年に神饌幣帛料供進神社に指定された。

昭和二十一年旧社格制度は廃止され、替わって愛知県神社庁神社等級規程により十等級に認定された。

平成十四年九月二十二日本殿覆殿並びに幣殿及び社務所増改築の御造営事業が竣功し、同日八等級に昇格された。

特殊神事「雨乞神事」

この神事は、旱魃の時雨乞いをして、境内の池の水を農耕作業姿の氏子が汲み干す神事であり、霊験あらたかで忽ち雨が降ったと言い伝えられている。この祭りは「大旱の祭」と呼ばれて、明治維新後も四回行われた。

 

郷社式内謁播神社由緒

一、祭神 知波夜命 春日明神

一、延喜式神名帳ニ 三河国額田二座 並小内 謁播神社

一、国内神名帳ニ 正三位 謁磐明神

一、旧事記国造本紀ニ

三河国造志賀高穴穂朝以物部連祖出雲色大臣命五世孫知波夜命定賜国造

一、本社古文章ニ

出雲色大臣命五世孫知波夜命当邑ニ来リ給フヲ以テ来山ト云フ(中古春日山又ハ知波来山ト称ス)今ノ牛下山ノ塚ハ本命ヲ祀ルモノナリト云フ

往古神領弐町ヲ領スト又正応五年古文章ニ御高七十石トアリ中古戦乱ノ為神領ハ自然消散セリ

一、産子ノ家ニ伝フル古文章ニ

当国謁播神社創建ハ白鳳年中(弘文天皇ノ御宇)帝当国引馬野ニ行幸ノ際尾張国ヨリ当国ニ移リ給フ時海上俄ニ黒雲生シ怒涛渦巻キ帝大イニ艱ミ給フ臣等種々労スレドモ力及バス此地ヲ鳴海ト称ス就中紫雲空中ニ靉キ妙音ヲ放ツ海上ノ黒雲忽チニ去リ帝ノ危難ヲ救ヘリ帝叡感ノ余リ空中ノ妙音ニ対シテ勅問シ給フ空中ヨリ臣トシテ帝難ヲ外ニセンヤト更ニ勅問ニ応シテ当国ノ守護ニ鎮座スル謁磐明神ナリト言下ニ一天洗フガ如ク静穏ナル海面ト化シ恙ク御還幸ノ後侍臣一人ヲ遣ハシ給ヒ此ノ神ヲ守護サセ給ヘリ是レ安藤家ノ祖ナリ藤原ノ末裔ナルモ神トノ同姓ヲ惧レ安藤ニ改メタリ云々

創建時期は不詳。

先代旧事本紀の国造本紀によれば、志賀高穴穂朝(成務天皇)の御代、物部連の祖・出雲色大臣命の五世孫である知波夜命が参河国造に任じられたとあり、由緒ではその逝去後に村人が徳を慕い祠を建てたのが始まりとしています。

当社の北東にある於新造古墳(牛下山古墳)は知波夜命の塚ともいわれています。

 

また別の伝承によると、白鳳年間に弘文天皇(※)が行幸の途次、海上でしけに遭った際、謁播の神に救われ、その後侍臣の一人を遣わしてこの神を祀らせたとも(※境内由緒書では弘文天皇だが、『愛知県神社名鑑』は天武天皇とする)。

 

延喜式神名帳にみえる「三河国額田郡 謁播神社」は当社に比定されています。

また、日本文徳天皇実録 仁寿元年(851)10月乙巳(7日)条にみえる「参河国…謁磐…等十一神。並授従五位下」の謁磐神もまた当社に比定されます。

『三河国内神名帳』においては「正三位 謁磐明神」とあります。

 

戦国時代に戦火に罹り焼失し、神主家は足助に移住。

謁播社も足助に祀られたとされます。これが現在、豊田市御蔵町に鎮座する川原宮謁磐神社。

神主不在となった当社は退転し、別当の松林寺によって維持されていたようです。

 

 

明治5年郷社列格。

 

祭神は知波夜命。

春日大神を配祀神とします。

『愛知県神社名鑑』には須佐之男命の名も見えます。昭和3年に境内社の津島社を本社へ合祀したとあるので、その祭神だと思われます。

御朱印

御朱印の有無は不明。

アクセス

岡崎中心部から国道248号を北上、あるいは豊田東ICを蒲郡・岡崎方面(左手)に降りて南下し、上里二丁目交差点(位置)で東へ。

1.2km先の東阿知和町宮前交差点(位置)を左折。

橋(謁播橋)を渡ってすぐ左手に下りると神社。

社頭に広めの駐車場あり。

神社概要

社名謁播神社(あつわじんじゃ)
通称
旧称アチハ春日両社
住所愛知県岡崎市東阿知和町字北山39
祭神知波夜命
配祀春日大神
合祀須佐之男命
社格等

式内社 三河国額田郡 謁播神社

日本文徳天皇実録 仁寿元年十月乙巳(七) 謁磐神 従五位下

旧郷社

札所等
御朱印不明
御朱印帳
駐車場あり
公式Webサイト
備考

参考文献

  • 「謁播神社」, 『日本歴史地名大系』(データベース「JapanKnowledge」)
  • 「謁播神社」, 神社本庁教学研究所研究室編『平成「祭」データ(CD-ROM)』全国神社祭祀祭礼総合調査本庁委員会, 1995
  • 愛知県神社庁編『愛知県神社名鑑』愛知県神社庁, 1992
  • 式内社研究会編『式内社調査報告 第九巻 東海道4』皇學館大学出版部, 1988
  • 明治神社誌料編纂所編『府県郷社明治神社誌料 上巻』明治神社誌料編纂所, 1912(国会図書館デジタルコレクション 844コマ